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分院を円滑に開設する方法
目次
1はじめに
開業されている医師のなかには、分院を開設したいとお考えの先生も多いと思います。
分院を開設するには、医療法人の定款変更認可申請をしないといけないと思い込んでいる専門家も多いかもしれませが、もっと円滑に開設する方法はないのでしょうか。
2分院開設の方法
分院を開設する方法としては、次の3つが考えられます。
①医療法人の分院として開設する方法
本院である医療法人Aが分院の開設者となり、分院の管理者として雇われ院長を置くという方法です。最もオーソドックスな方法といえるでしょう。ただし、複数の都道府県にまたがって病院・診療所等を開設する場合、広域医療法人となるので、定款変更認可申請が必要となり、時間がかかるというデメリットがあります。
②本院とは別の医療法人で分院
開設する方法本院である医療法人Aとは別に医療法人Bとその理事長(雇われ院長)であらたに分院を開設する方法です。医療法人Aを広域医療法人にしたくない場合等に利用できる方法です。
③本院の理事長個人で分院開設する方法
医療法人が開設する医療機関の開設者は、理事長ではなく、医療法人です。1人の医師が2ヶ所以上の開設者・管理者となることを2ヶ所管理といい、原則として認められていません。医師は1ヶ所だけ開設者・管理者となることができます。
そこで、本院の開設者は医療法人Aである以上、医療法人Aの理事長が、分院の開設者となり、分院の管理者になる方法が考えられます。
この方法の場合、本院の管理者を勤務医に変更することで、医療法人Aの理事長は1ヶ所も開設者・管理者にはなっていないことになり、個人での開設も可能となります。定款変更認可申請も不要であり、費用対効果も大きいので、一番お薦めの方法です。
3まとめ
上記のとおり、分院開設の方法としては、③本院の理事長個人で分院開設する方法が最も簡便ですので、分院をお考えの医師の先生は、一度ご検討ください。
なお、分院の開設者と管理者をいずれも雇われ院長とする方法(名義貸しといいます)について、厚生労働省は名義貸しを一切認めておらず、最悪、医師免許停止や分院の乗っ取りのおそれもありますので、絶対にしないようにしてください。
分院の開設をお考えの病院・クリニック経営の方は、この分野に詳しい専門家にご相談ください。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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