広告における打消し表示

1 打消し表示とは

 事業者が、商品・サービスの広告表示を行う場合、一般消費者に訴求するために、断定的な表現や目立つ表現などを使うことがあります。

 こうした表示を、「強調表示」といいます。強調表示は、それ自体が事実に反するものでない限り、何ら問題ありません。

 一方、一般消費者にとっては、その強調表示で記載された内容が、無条件・無制約に当てはまるものであると受け取られるおそれがあります。そのため、例外等がある場合には、その旨の表示を分かりやすく適切に行う必要があります。この表示を「打消し表示」と呼びます。

〈強調表示と打消し表示の例〉
・強調表示:「店内全品半額セール」
・打消し表示:「※ただし、一部化粧品を除く」

 打消し表示を適切に行わなければ、一般消費者に誤認される強調表示であるとして、景品表示法上問題となるおそれがあります。
 以下では、適切な打消し表示を行うためのポイントをお伝えします。

2 適切な打消し表示のポイント

 打消し表示については、消費者庁が、「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」という資料をまとめていますので、以下では、同資料に従って解説します。同資料では、「打消し表示の表示方法」、「打消し表示の表示内容」、「体験談を用いる場合」という3つの観点から、打消し表示の留意点を示しています。 

 

(1)打消し表示の表示方法

 打消し表示の表示方法が適切といえるかどうかは、以下に挙げる要素を考慮して総合的に判断されます。

ア すべての広告媒体において考慮される要素

 強調表示を見た一般消費者が打消し表示を見落とさないかどうかがポイントです。

・打消し表示の文字の大きさ
・強調表示の文字と打消し表示の文字の大きさのバランス
・打消し表示の配置箇所
・打消し表示と背景の区別

イ 動画広告の場合の考慮要素

動画広告の場合には、表示時間が限られる映像と音声の組み合わせが可能である等の特性があるため、以下の点も考慮されます。

・打消し表示が含まれる画面の表示時間
・音声等による表示の方法
・強調表示と打消し表示が別の画面に表示されているか
・複数の場面で内容の異なる複数の強調表示と打消し表示が登場するか

ウ Web広告(PC)の場合の考慮要素

Web 広告には、スクロールしないと画面全体を確認できない場合がある等の特徴があるため、以下の点も考慮されます。

・強調表示と打消し表示が1スクロール以上離れているか

エ Web広告(スマホ)の場合の考慮要素

Web広告の中でも、特にスマホの広告の場合は、PCと比べて画面のサイズが小さい等の特性があるため、さらに以下の点が考慮されます。

・アコーディオンパネルに打消し表示が表示されているか
・コンバージョンボタンの配置箇所
・スマートフォンにおける強調表示と打消し表示の距離
・スマートフォンにおける打消し表示の文字の大きさ
・スマートフォンにおける打消し表示の文字とその背景の色や模様
・他の画像等に注意が引きつけられるか

 

(2)打消し表示の表示内容

適切な打消し表示といえるためには、一般消費者が打消し表示の内容を正しく理解できるように分かりやすく表示されていなければなりません。

〈不適切な例〉
・例外があるのに、読んでもその例外があることが分からない表示
・その料金が適用されるためには別条件があるのに、読んでもそのことが分からない表示
・追加料金が必要なのに、読んでもそのことが分からない表示

 

(3)体験談を用いる場合

商品・サービスを利用した人の体験談を広告に用いる際は、体験談等を含めた表示全体から「大体の人に効果がある」と一般消費者が認識を抱くことに留意する必要があります。体験談により一般消費者の誤認を招かないようにするためには、当該商品・サービスの効果、性能等に適切に対応したものを用いることが必要であり、商品の効果、性能等に関して事業者が行った調査における㋐被験者の数及びその属性、㋑そのうち体験談と同じような効果、性能等が得られた者が占める割合、㋒体験談と同じような効果、性能等が得られなかった者が占める割合等を明瞭に表示すべきです。

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