キャンペーンやクーポン施策に潜むリスクとは?景品表示法違反を弁護士が徹底解説
目次
景品表示法とは?
景品表示法(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」)は、事業者による、消費者を誤認させるような不当な広告や、消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供を禁止する法律です。
景品表示法は、平時の商品表示や景品に適用されるのはもちろんですが、キャンペーンやクーポンについても適用されます。そこで、以下では、キャンペーンやクーポン施策を行う際の景品表示法上のリスクを解説します。
期間限定キャンペーンに潜むリスク
「〇日までポイント●倍!」、「今だけ●●プレゼント!」のように、期間を限定したうえで、通常以上のポイントが付与されること、通常ではもらえないプレゼントがもらえること等を訴求する表示をよく見かけます。こうした表示は、「期間限定表示」と呼ばれます。
期間限定表示は、「今だけお得」感を一般消費者に感じさせるという点に顧客誘引効果があります。そのため、実際には「今以外もお得」であるにもかかわらず、「今だけお得」であるかのような表示をすることは、当該商品等の取引条件について、一般消費者に実際よりも有利であると誤認させていることになります。つまり、期間限定表示をしながら実際には期間限定ではない場合、その期間に関する表示が、有利誤認表示として景品表示法違反になり得ます。
割引キャンペーンに潜むリスク
「今だけのセール価格! 当店通常価格1000円 → セール価格600円」のように、過去の通常価格とセール価格を併記した上で、通常より安い価格であることを訴求する表示をよく見かけます。このように、事業者が自己の販売価格に当該販売価格よりも高い他の価格(比較対照価格)を併記して表示するものを「二重価格表示」といいます。
二重価格表示の内容が適正であれば、一般消費者の選択や事業者間の価格競争の促進に資するため、何ら問題はありません。しかし、二重価格表示の内容が適正でない場合は、一般消費者に、販売価格が安いという誤った認識を与えることになるため、有利誤認表示をして不当表示に該当するおそれがあります。
過去の販売価格を表示するに際しては、以下の3つのポイントを押さえるようにしてください。逆に、以下の3つを満たさないものを過去の販売価格として表示すると、景品表示法違反になる可能性が高いです。
①セール直前の8週間で4週間以上販売された価格であること ②通算して2週間以上販売された価格であること ③セール直前の2週間以内に販売された価格であること |
割引クーポンに潜むリスク
「×円お買い上げごとに、次回のお買い物で使える〇円の割引クーポンをプレゼント」のように、自社でのみ使える割引クーポンを配布することは、景品表示法上の景品規制を受けません。
しかし、配布する割引クーポンを他社でも使えるものにする場合は、注意が必要です。割引金額が同じであれば問題ありません。しかし、割引額が他社の方が大きいクーポンや、割引額ではなく一律の割引率のクーポンの場合は、景品表示法上の総付景品規制(景品額の上限規制)を受けることになります。具体的な上限額は、以下のとおりです。
商品・サービスの額 | 景品類の最高額 | |
総付景品 | 1000円未満 | 200円 |
1000円以上 | 商品・サービスの額の10% |
景品表示法に違反した場合
景品表示法に違反すると、措置命令という行政処分を受けることになります。また、その際に社名が公表されてしまうため、企業イメージが大きく悪化してしまいます。さらに、不当表示の場合は、課徴金納付命令を受ける可能性もあり、金銭的なダメージも大きいです。
弁護士に相談する必要性
訴求力の高いキャンペーンやクーポンは、消費者に喜んでもらえることも多いです。しかし、通常とは異なる施策を行うため、上記のように景品表示法違反のリスクを多く秘めているといえます。キャンペーンのクーポンの方向性が決まってしまうと、社内で景品表示法違反のリスクを進言することが事実上難しい空気感にもなるでしょう。
せっかくのキャンペーンやクーポンで企業イメージを傷つけないよう、この分野に詳しい社外の弁護士にご相談いただくことで、第三者的な目線から、景品表示法違反のリスクを検討することができます。キャンペーンやクーポンを検討中の事業者の方は、ぜひ一度、広告法務分野に詳しい弁護士にご相談ください。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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