グリーンウォッシュと広告規制

第1 はじめに~グリーンウォッシュとは~

 グリーンウォッシュとは、環境への配慮を意味する「green」と、ごまかしやうわべを繕うことを意味する「whitewash」とを組み合わせた造語で、「環境に配慮しているかのように見せかけること」という意味になります。
 SDGsが世界的なスローガンとして定着し、環境に配慮していることをアピールする企業も増えてきました。その一方で、実際は環境に配慮していないにもかかわらず、環境に配慮しているかのように見せかけて、自社や自社商品をアピールする企業も増えており、これが近年「グリーンウォッシュ」として問題視されているのです。
 では、環境に配慮しているかのように見せかけるグリーンウォッシュな広告は、日本の法律上はどのように問題視されるのでしょうか。

 

第2 グリーンウォッシュと景品表示法

1 景品表示法とは

 日本で広告全般を規制する法律は、景品表示法です。景品表示法は、実際のものよりも著しく優良であることを示す表示(優良誤認表示)を不当表示として禁止しています。たとえば、「このサプリを飲むだけでマイナス10キロ!」などと表示していたにもかかわらず、実際にはそのサプリにダイエット効果が全くないという場合、それは優良誤認表示として不当表示に該当することになります。

2 グリーンウォッシュの不当表示該当性

 では、たとえば衣類について、「ペットボトルをリサイクルして作りました!」と表示していたにもかかわらず、実際にはペットボトルをリサイクルしていなかった(ただし、衣類の品質に違いはない)という場合はどうでしょうか。品質に違いがない以上、「実際のものよりも著しく優良であることを示す表示」には該当しないようにも思えます。
 しかし、景品表示法において、「著しく優良」かどうかは、科学的に優良かどうかではなく、一般消費者が優良と考えるかどうかで判断されます。そのため、先ほどの例で、ペットボトルをリサイクルしたかどうかによって衣類の品質には科学的に違いがないとしても、一般消費者が、通常の衣類よりもペットボトルをリサイクルした衣類の方が優良であると考えるならば、優良誤認表示として、不当表示に該当するのです。そして、昨今の環境意識の高まりを踏まえると、一般消費者はペットボトルをリサイクルした衣類の方が環境に優しく優良であると考えるでしょうから、不当表示に該当してしまうでしょう。
 このように、グリーンウォッシュな商品広告は、景品表示法違反になる可能性が高いのです。

3 事例紹介

(1)平成20年4月25日 製紙会社8社に対する排除命令

 製紙会社が、コピー用紙について、「古紙配合率100%!」等の表示をすることによって環境に配慮した商品であることを訴求していました。しかし、実際には、古紙配合率が100%を大幅に下回っていました
 行政庁は、このような表示は不当表示に該当すると認定し、排除命令を下しました。

(2)令和4年12月23日 カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対する措置命令

 プラスチック商品の販売事業者が、プラスチック製のカトラリーについて、「堆肥化可能の生分解性カトラリー」、「堆肥化可能な生分解性PLAを使ってのカトラリーは約三か月で土に還ります。脱プラは必要ですが、カトラリーとしても強度も必要であり、このBMTトウモロコシPLAカトラリーはecoと利便性を兼ね備えた商品です。」、水の上に植物の葉がある画像と共に、「PLA 環境にやさしい海に還る生分解性」等と表示することによって、あたかもこのカトラリーが、使い捨てられても約3か月で土や海に還る生分解性を有するかのような訴求をしていました。しかし、実際には、そのような生分解性に関する合理的な根拠資料がありませんでした
 行政庁は、このような表示は不当表示に該当すると認定し、措置命令を下しました。

 

第3 グリーンウォッシュと環境表示ガイドライン

1 環境表示ガイドラインの内容

 環境省は、環境表示ガイドラインを公表しています。環境表示とは、環境に配慮した点や環境保全効果などの特徴を説明した表示のことです。
 環境表示ガイドラインでは、環境表示を行う事業者に対し、ISO14021:1999「タイプⅡ環境ラベル表示」という国際規格に準拠した環境表示を行うことを求めています。具体的には、この国際規約に準拠した環境表示とするために、以下の事項を要求しています。

①あいまいな表現や環境主張は行わないこと
②環境主張の内容に説明文を付けること
③環境主張の検証に必要なデータおよび評価方法が提供可能であること
④製品または工程における比較主張はLCA評価、数値等により適切になされていること
⑤評価および検証のための情報にアクセスが可能であること

 環境表示ガイドライン内で「グリーンウォッシュ」という言葉は用いられていないものの、上記①~⑤を満たさない環境表示は、見せかけの環境表示ということになり、世間からグリーンウォッシュであるとの評価を受けると考えられます。

2 環境表示ガイドラインの適用範囲

 注意すべきは、環境表示ガイドラインの適用範囲です。環境表示ガイドラインは、景品表示法の対象となる「表示」だけでなく、商品等の取引に直接的な関係のない表示にも適用されます。したがって、たとえば、具体的な商品のCMではなく、企業の環境への取り組みをアピールするCM等であっても、上記①~⑤を遵守する必要があります

 

第4 まとめ

 以上の通り、環境に配慮しているかのように見せかけるグリーンウォッシュな広告は、景品表示法や環境表示ガイドラインに違反する可能性があります。環境に配慮した広告表示についてお悩みの方は、ぜひ一度、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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