公正競争規約の意義と内容
目次
1 公正競争規約とは
公正競争規約とは、事業者や事業者団体が定める、表示や景品類の提供に関する自主的ルールのことです。すなわち、景品表示法31条の規定に基づき、事業者又は事業者団体が、消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けて設定する、商品または役務の表示方法に関するルール(表示規約)や当該業界における景品類の提供の制限に関するルール(景品規約)です。公正競争規約には、どのような意義があるのでしょうか。また、公正競争規約はどのような内容になっているでしょうか。
2 公正競争規約の意義
景品表示法のルールは、どの業界にも当てはまるように作成されているため、どうしても抽象的になってしまいます。
一方、公正競争規約は、業界ごとに定められているため、具体的なルールになっています。すなわち、公正競争規約では、法律や告示で線引きすることが困難な表示基準が定められています。また、公正競争規約では、法令上表示が義務付けられていない事項についての表示を義務付けたりすることも可能で、通常、景品表示法よりも厳しい内容が定められています。そのため、公正競争規約が存在する事項については、公正競争規約を遵守しておけば、景品表示法に違反することは基本的にありません。
このように、公正競争規約を見れば、必要な関係法令の規制が具体的に分かる上、公正競争規約を遵守していれば、他の法令も遵守できていることになるので、公正競争規約に参加し遵守することで、コンプライアンスの徹底を図ることができます。
令和5年4月時点で、103件の公正競争規約(表示規約66件、景品規約37件)が認定されています。
3 公正競争規約の内容
公正競争規約のうち、表示規約については、どの表示規約でも、概ね以下の内容が定められています。
①目的 ②定義 ③必要表示事項 ④特定事項等の表示基準 ⑤不当表示の禁止 ⑥公正マーク ⑦協議会の組織、事業 ⑧規約違反に対する調査に関する規定 |
また、景品規約については、どの景品規約でも、概ね以下の内容が定められています。
①目的 ②定義 ③景品類の提供の制限 |
各規約の具体的な内容は、各規約をご確認ください。
4 公正競争規約の認定要件
公正競争規約として認定を受けるためには、以下の要件を満たしている必要があります。
(1)不当な顧客の誘因を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること
たとえば、その規約に参加しない事業者(アウトサイダー)が多すぎて事実上実効が上がらず、その業界におけるルールとして機能することが期待できない場合は、この要件を満たさず、認定を受けられません。
(2)一般消費者および関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと
たとえば、一般消費者が購入時に当然留意する事項について、これを表示しないようにする規約は、かえって一般消費者の利益を害しているので、認定を受けられません。
(3)不当に差別的でないこと
たとえば、大手事業者だけに有利で、中小事業者にとっては不利益となるような規定は、認定を受けられません。
(4)公正競争規約に参加し、又は公正競争規約から脱退することを不当に制限しないこと
一方で、合理性のある参加・脱退の制限は許されます。
5 公正競争規約に違反した場合
(1)公正競争規約に参加している事業者の違反
公正競争規約に違反した場合の措置について、当該公正競争規約に規定されています。通常は、違約金が課されたり、除名処分を受けたりすることになります。
(2)公正競争規約に参加していない事業者の違反
公正競争規約は、あくまで自主的ルールですので、公正競争規約に参加していない事業者(アウトサイダー)が公正競争規約に違反しても、公正競争規約違反として何らかの措置をとられるわけではありません。
もっとも、公正競争規約に定められたルールが普及して一般化すると、アウトサイダーが公正競争規約とは異なる表示を行った場合、その表示が優良誤認表示や有利誤認表示に該当し、消費者庁長官から、景品表示法違反として措置命令等を受ける可能性はあります。そのため、公正競争規約に参加していない場合も、公正競争規約の内容を完全に無視することは危険です。
5 最後に
「公正競争規約に参加するか迷っている」、「公正競争規約違反を理由とした措置を受けそうである」という方は、ぜひ一度、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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