一括委任・一括下請負条項と民法改正(建築工事請負契約約款)

1.一括委任・一括下請条項の発注者の書面による承諾

 建築工事等請負契約約款のなかには、工事や設計業務・管理業務の一括委任・一括下請を原則禁止とし、例外的に発注者の書面による承諾を得た場合に限り、一括委任・一括下請を認める旨を規定する契約約款も数多くあります。

 しかしながら、実務では、この書面による承諾を得ないで工事をしてしまうことも多く、トラブルに発展するおそれがあります。

 そこで、このようなリスクを避けるために、工事や設計業務・管理業務の一括委任・一括下請をあらかじめ承諾する旨の条項(以下「同意条項」といいます。)を定めることをお勧めします。

 なお、トラブル防止のためにも、発注者に対して、一括委任・一括下請をする場合がある旨をきちんと説明しておくべきでしょう。

 

2.建設業法・建築士法との関係

 建設業法22条は、一括下請けを原則禁止し、例外的に発注者の書面による承諾を得たときは、一括下請けも可能と規定しています。

 そこで、同意条項を定めた契約約款に、発注者が署名・捺印することにより、書面による承諾を得ることと同様の効果が期待できます。

 ただし、①建設業法上、共同住宅の新築を目的とする工事の場合は、発注者からの承諾がある場合でも、一括下請けが禁止されており、また、②建築士法上、委託を受けた設計又は工事監理について、延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築工事について、再委託が禁止されています(同法24条の3第2項)ので、これらの点にご注意ください。

 

3.民法改正との関係

 現行民法は、委任契約において、再委託を禁止する旨の規定はありませんでしたが、解釈上、「委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるとき」に限って、復委任が認められると解されてきました。

この点、2017年民法改正により、委任契約においては、「委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるとき」を除き、受託業務の再委託が禁止されました(644条の2第1項)。

このように、受託業務を発注者の承諾なしに再委託することで、契約の効力が否定されることが条文上も明らかになり、現行民法に比べ、同意条項を定めることの重要性が増したといえるでしょう。

 

建築工事請負契約の法務問題に関してお困りの経営者は、この問題に詳しい弁護士にご相談ください。

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発行日:2021.03.04

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