仮想通貨(ビットコイン、NEM、イーサリアム、リップル等)と法的問題

1.はじめに

 最近、ビットコインの高騰やNEMの盗難事件等が連日ニュースで取り上げられ、仮想通貨への注目が集まっています。そこで、仮想通貨の主な法的問題について説明させていただきます。なお、以下の説明は、2018年2月時点での法規制が前提となりますのでご留意ください。

2.仮想通貨とは

(1)定義

 仮想通貨とは、通貨的な機能を有する財産的価値をいいます。なお、資金決済法でも、別途交換業者について登録が求められる仮想通貨の定義が定められています。
 仮想通貨は、強制通用力(どこでも、誰でも、何にでも、支払ないし決済の手段として利用できる力)までは有していない点で、通貨とは異なります。

(2)法規制 

 仮想通貨交換業を営む業者は、資金決済法によって金融庁への登録が求められています。規制が平成29年4月になされて間がないことから、現時点で登録がなされていなくとも、登録申請をすればみなし登録扱いとする経過措置がとられています。

3.盗難コインに関する法的問題

 (1)では、暗証番号がハッキングされコインが盗難にあった場合、ユーザーは、仮想通貨交換業者に対して、どのような法的請求ができるのでしょうか。

① 仮想通貨交換業者が営業を継続している場合

 まず、ユーザーは預けた資産(日本円・仮想通貨等)を返還請求することが考えられます。もし、仮想通貨交換業者が返還することができず債務不履行になった場合、ユーザーは損害賠償請求をすることができます。

 なお、この場合の損害ですが、金銭賠償は日本円ですので、示談交渉がまとまらずに裁判になった場合は、口頭弁論終結時の仮想通貨のレートが損害基準になると思われます。

②仮想通貨交換業者の経営が破綻した場合

 破産手続となった場合、預けた資産(日本円・仮想通貨等)について、業者が分別管理することで信託が成立しているか否かによって、次のとおり、扱いが大きく異なります。
 信託が成立する場合、業者の資産とは別に管理されている財産となりますので、原則として、預けた資産は全額ユーザーに返還されます。

 これに対して、信託が成立していない場合、ユーザーから業者への資産の返還請求権は一般破産債権として配当の対象になります。なお、破産手続きにおいては、業者の資産がほとんどないことから、配当がなかったり、配当がなされても債権の数パーセントしかなかったりすることが多いのが現状です。

 また、上記一般破産債権は、破産開始決定時の仮想通貨のレートで日本円に換算されますが、民事再生の場合には、このような基準はありませんので、再生計画のなかで換算時等を自由に決めることができるものと思われます。

 このように、信託が成立するか否かによって、ユーザーの保全される資産の額は大きく異なるおそれがありますので、業者の分別管理の徹底の度合いが非常に重要になってきます。

(2)仮想通貨交換業者

①行政法上の責任

 分別管理が不十分であった場合、資金決済法における分別管理義務違反として、行政処分(改善命令・業務停止命令・登録取消)の対象となります。

②刑法上の責任

 仮に仮想通貨を持たずにユーザーに販売していた場合、詐欺罪が成立する可能性があります。

(3)ハッキングして仮想通貨を盗難した犯人

 本来の権利者ではないものが不正にアクセスして仮想通貨を盗難したのであるから、電子計算機使用詐欺罪(刑法246条の2)、不正アクセス禁止法違反が成立する可能性があります。なお、機械を欺くことはありえませんので、詐欺罪は成立しません。

 なお、盗難コインをもらった者については、盗品等譲受罪は成立するおそれは低いものと考えられます。その理由として、情報は同罪の客体として否定される傾向にあること、所有権の移転がないので、「譲渡」とはいえない可能性があることがあげられます。

4.税務関係

(1)消費税について、かつての政府見解では課税するとのことでしたが、現在は非課税の扱いになっています(消費税法施行令)。

(2)キャピタルゲインについては、現時点では雑所得として扱う通達が出されています。その趣旨
は、決済手段である外貨と同じ扱いにすることにあるものと思われます。

 雑所得の場合、損益通算や損失の繰越ができないことから、納税できない人の増加が懸念されています。このように不合理な結果を招来するおそれがあることや、外貨と仮想通貨には異なる特徴も多いこと等から、今後裁判において、雑所得ではなく譲渡所得(損益通算や損失の繰越が可能)として判断される可能性もあります。

5.その他 

(1)仮想通貨交換業者は、金融機関と違い管理者ではないので、振込先を間違えると戻せなかった
り、盗難された仮想通貨が入った口座を凍結することはできません。なお、盗難された仮想通貨に盗難マークを付けることはできますが、それ以上に送金を止めるといった扱いはできません。

(2)ICO(イニシャル・コイン・オファリング)
 あらたに仮想通貨発行を行うことです。株式の新規上場(IPO)のような厳しい規制は定められていません。そのため、詐欺的な事案が横行しているといわれていますので、ご注意ください。

6.まとめ

 このように、仮想通貨には従来の法的問題とは異なった未知の新たな問題が発生するおそれがあり、法も未整備なところが多くあります。今後も仮想通貨については、適宜、法改正がなされることが予想されますので、その動向に注目していく必要があります。 

 仮想通貨の法的問題に関して、お悩みの方はこの分野に詳しい専門家にご相談ください。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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