クレーマーへの対応方法

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クレームへの対応とは

 企業活動をしている限り、少なからず顧客からクレームを受けることがあると思います。

 そのクレームが正当なクレームであれば、ビジネスを改善させるための契機にもなります。このため、顧客の要望のうち正当なものについては適切な対応を取る必要があります。

 これに対して、そのクレームが不当なクレームであれば、顧客の要求を拒絶し、それ以上の対応を終了する必要があります。
 
 クレーマーは企業の顧客主義につけ込む傾向があり、昨今のインターネットやSNSの普及により、従前よりもより簡単に企業に嫌がらせを行うことが可能になっています。

 SNSなどで拡散されることを恐れて、本来であれば不要であるはずの不当クレームへの対応をいつまでも丁寧に続けることになると、担当者の精神的疲弊や業務へ悪影響が生じるおそれがあります。

 このため不当要求を行うクレーマーについては、顧客対応を終了して、法的対応等に切り替えることを検討する必要があります。

 

正当なクレームと不当なクレームとの判断のポイント

 では、正当なクレームと不当なクレームとの判断のポイントはどこにあるのでしょうか。

 まずは、顧客のクレームについて、要求する「内容」または要求する「手段・態様」のいずれか(または両方)が不当であるかが、不当クレームかどうかの判断のポイントとなります。

 また、企業側が丁寧な説明や説得を繰り返しているにも関わらず、気が付いたら交渉が堂々巡りになっているような場合も、不当クレームであることを疑う必要があります。

 企業側としては、安易に不当なクレームとして決めつけるのではなく、顧客から聞き取った事実関係について客観的な裏付けをとりながら、不当クレームであるかどうかについて判断する必要があります。

 顧客とのやり取りについては、日時や会話内容などを正確に記した交渉記録を必ず残しておくようにしましょう。

謝罪は絶対にNG?

 謝罪をしてしまったら後から不利になると誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、「謝罪イコール責任の発生」ではありません。

 むしろ、謝罪をすることで相手が抱いている感情を緩和したり、2次・3次クレームの発生を防ぐといった効果が期待できます。

 ただし、謝罪の仕方には注意が必要です。民事上の法的責任が明らかでないうちに、的責任を認める謝罪をしないようにしましょう。
 例えば、まだ調査中であるにもかかわらず、初期の段階で「商品を交換する」「お金を返金する」「こちらに責任がある」と言った発言をすることは、後に企業側に責任がないことが判明した場合にトラブルに発展する可能性があります。

 いわゆる道義的な謝罪、具体的には「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」「ご不快なお気持ちにさせてしまい申し訳ありません」等といった謝罪であれば問題はありません。

タイプ別によるクレーマーへの対応方法

 一言でクレーマーといっても様々なタイプがあり、その特質が異なりますので、それぞれのタ
イプによって、対応方法を変える必要があります。クレーマーは、大きくわけて4つのタイプに
わけることができます。

独善型クレーマー

 独善的な価値観、ロジックをもち、執拗にクレームや不当要求を繰り返すタイプです。自身の有能さを自他ともに認識することを目的としていることが多く、経済合理的には動かない傾向にあります。

 顧客である自分の要求にはすべて応じるべきだと思っていることが多く、無理・不当な要求でも執拗に要求してくる傾向にあります。ネット上へ誹謗中傷の書き込みをしてくることもあります。

 企業の対応としては、このような不当な要求には、丁寧な言葉を使いながら、要求を拒否しましょう。交渉が堂々巡りになった時点で、それ以上の交渉を打ち切り、書面で最終回答をすればよいでしょう。
 それでも、相手方から交渉の要求があったり、業務妨害的な行為が行われた場合には、交渉の窓口を弁護士へ移管することを検討する必要があります。


精神型クレーマー

 言動から精神的に問題がありそうなタイプで、挫折感・孤独感・執着心等の心の欠損を埋めることを目的としていることから、クレームの理由は何でもよいことが多いです。
 頻繁に長電話をしてきて、なかなか電話を切らせてくれなかったり、時折意味不明な言動をしたりする傾向にあります。

 企業の対応としては、相手に付き合わずに、本題についてのみ型通りの接客を心がけ、できる限り、関係や接触をもたないようにしましょう。


常習型クレーマー

 比較的安価な賠償又は対価を求めるタイプで、一般人に多いです。経済的な要求自体が目的ですので、比較的経済合理的に動く傾向にあります。執拗ですが攻撃性は低く、企業に打撃を与えるような言動に出る可能性は低いです。

 企業の対応としては、丁寧かつ具体的に質問して、事実関係を確認するようにしてください。前例や同業他社の対応を引き合いに出してくることもありますが、相手にせず、今回の事案だけの話をするようにしてください。やがて、しどろもどろになり、あきらめることが多いでしょう。

 なお、安易に金銭等を渡すと高い確率で、再び要求してくることがありますので、そのような対応は絶対にしないでください。


反社会型クレーマー

 経済活動や社会活動を装いながら、企業恐喝や取引を強要してくるタイプで、反社会的団体に属する人に多いです。このタイプも経済的な要求自体が目的ですので、経済合理的に動く傾向にあります。

 調査をしてターゲットを絞り込んできていることが多く、街宣活動やマスコミへの漏洩等、要求を拒絶した場合の報復もまえもって準備していることがあります。

 反社会的勢力への現代社会の厳しい反応からもわかるとおり、不当な要求に屈することは、企業の信用・ブランドに極めて重大な損害を与えるおそれがあります。

 ですので、企業の対応としては、要求を断固拒否し、直ちに、警告の内容証明郵便を送付した、刑事告訴(強要・恐喝・名誉棄損・業務妨害等)することを検討する必要があります。早期に弁護士に依頼することをお勧めします。

場面に応じた具体的な対応方法

 その他、場面に応じた具体的な対応方法としては、次のような方法が考えられますので、参考にしてください。

来社・来店している場合

・基本は2名以上での対応
・場所に配慮する(×店頭 ○別室)
・閉じ込められないように、部屋の奥に相手方を座らせる等、座る位置にも配慮する
・面会時間の上限を決めておく
・場合によっては弁護士の存在をちらつかせる
・誠意をもってお見送りを

電話の場合

・電話は3コール以内に取る
・基本は折り返し、たらい回しはしない
・復唱する等、正確に記録に残すこと
  
 その他、様々な業種や場面に応じて、対応方法にも工夫が必要です。悪質なクレーマー対応にお困りの経営者の方は、クレーマー対策に詳しい弁護士にご相談ください。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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