個人情報を生成系AIに入力する際の注意点

1 はじめに

 近年、生成系AIが広く普及し、一般人にも利用できるようになっています。この生成系AIに企業が保有する個人情報を入力する場合、個人情報保護法上の問題が発生します。
 以下に問題となる点を見ていきます。

 

2 問題となり得る点

(1)「個人情報」にあたるか

 個人情報保護法における「個人情報」とは、以下のどちらかに該当するものをいいます(法第2条1項)。
 ①生存する個人に関する情報であって、かつ、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの
 ②生存する個人に関する情報であって、個人識別符号が含まれるもの

 つまり、入力する情報が、どちらにもあたらない場合は、「個人情報」ではないため、個人情報保護法上の問題を生じることはありません。

(2)利用目的の範囲内か

 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用目的をできる限り特定しなくてはなりません(法17条1項)。事業者が個人情報を取得する場合、通常、その利用目的をプライバシーポリシー等で明示しています。事業者は、明示した個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱うことは出来ません(法18条1項)。
 そのため、生成系AIに個人情報を入力することが、プライバシーポリシー等の明示した利用目的のために必要な範囲といえなければなりません。利用目的の範囲を超える取扱いをする場合には、本人の同意を得るか、利用目的の変更(法17条2項)を行うことを検討することになります。

(3)「個人データ」の「提供」にあたるか

ア 本人の同意を得る必要がある場合

 個人情報取扱事業者は、原則として、「個人データ」を第三者に「提供」するには、あらかじめ本人の同意を得ておく必要があります(法27条1項)。本人の同意なく「個人データ」を「提供」できるのは、以下の例外的場合です。

 ①法令に基づく場合
 ②人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
 ③公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
 ④国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
 ⑤当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データの提供が学術研究の成果の公表又は教授のためやむを得ないとき
 ⑥当該個人情報取扱事業者が学術研究機関等である場合であって、当該個人データを学術研究目的で提供する必要があるとき
 ⑦当該第三者が学術研究機関等である場合であって、当該第三者が当該個人データを学術研究目的で取り扱う必要があるとき

イ 「個人データ」にあたるか

 個人データ」とは、個人情報データベース等を構成する個人情報をいいます(法16条3項)。
 そして、「個人情報データベース等」とは、個人情報を含む情報の集合物であって、
 ①特定の個人情報をコンピュータを用いて検索できるように体系的に構成したもの、又は
 ②コンピュータを用いていない場合であっても、五十音順に索引を付して並べられた顧客カード等、個人情報を一定の規則に従って整理することにより特定の個人情報を容易に検索することができるよう体系的に構成したものであって、目次、索引、符号等により一般的に容易に検索可能な状態に置かれているものをいいます(法16 条第1項、通則ガイドライン 2-4)。

ウ 「提供」にあたるか

 提供」とは、個人データ等を、自己以外の者が利用可能な状態に置くことをいいます(通則ガイドライン 2-7)。
 そして、クラウドサービスの利用が「提供」にあたるかは、クラウドサービスを提供する事業者において個人データを取り扱うこととなっているかが判断の基準となる、との個人情報委員会の見解が示されています(通則ガイドライン 7-53)。そのため、クラウド事業者が個人データを取り扱わない場合には、クラウド事業者に個人データを渡しても「提供」にはあたらないということになります。

 

3 終わりに

 生成系AIをはじめとした新技術は、新たな法的問題も生み出します。生成系AIを積極的に活用していくためには、適切なリスク管理が必要です。AI活用の際には、専門家に法的リスクの助言を求められることをお勧めします。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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