病院・クリニックにおける顧問弁護士の役割
はじめに
病院・クリニックでは,患者の生命・身体に関わる処置を行う以上,患者との間でトラブルが発生することは珍しくありません。しかし,医師や病院スタッフによる対応は負担が大きいですし,対応を誤ってトラブルが拡大してしまう危険もあります。
顧問弁護士がいれば,トラブルが拡大することがないように初期から適切に対応することが出来ますし,病院スタッフも業務に集中できます。また,患者とのトラブルだけでなく,院内でのハラスメント対策や労働問題等,幅広い問題について顧問弁護士に対応してもらうことが可能です。
以下では,病院・クリニックでご利用いただける顧問弁護士の役割の一端をご紹介させていただきます。
顧問弁護士の役割
(1) ハラスメント対策
職場のセクハラ・パワハラは,被害者の十全な労働を妨げるだけでなく,深刻なケースでは,被害者が精神障害に追い込まれて被害が深刻化します。周囲の職員の労働意欲にも悪影響は及び,職場の生産性が低下して業績が悪化する可能性がありますし,最悪の場合,職場に不満を持った職員らの一斉退職につながりかねません。さらに,被害者から,事業者に対し,職場環境に十分な配慮をしなかったとして,損害賠償責任を問われるおそれもあります。
よって,セクハラ・パワハラは,未然の防止が重要です。顧問弁護士に相談していただければ,セクハラ・パワハラ対策として,事業者としての方針の策定や啓発,さらに必要な体制の整備を主導します。
また,事態が発生してしまった場合でも,関係者から迅速・正確に事実関係を聴取して,被害者・加害者に適切な対応を行い,事態が深刻化する前に解決します。
(2) 労務問題
事業を営む以上,職員との労務トラブルは,避けることは出来ません。就業態度に問題のある職員がいたとしても,自己判断で指導や懲戒,解雇を行うことは,後の法的トラブルに発展する可能性が高く,大変危険です。不用意な対応は,労働組合の介入や訴訟への発展を招き,思わぬ時間的・金銭的コストを支払うことになります。
問題のある職員がいる場合,後に対応が違法と争われることのないように,法律・判例を踏まえた適切な対応をさせていただきます。初期段階から法的観点に基づいた解決の道筋を立てることで,トラブルの長期化を防ぎ,最小限のコストで解決に導きます。
(3) クレーマー対応
病院では,患者との間で,クレームやトラブルが日常的に発生します。顧問弁護士がいない場合は,病院の医師やスタッフで対応することになりますが,それでは業務に支障を生じ,業務効率が低下することは避けられないでしょう。
また,クレームの内容は,やむを得ないものから不当要求といえるような理不尽なものまで多岐に渡り,一様に対応できるものではありません。毅然とした対応が必要な場合もありますし,院内で周知徹底すべき改善点を含む有益なクレームもあるかもしれません。
顧問弁護士に相談いただければ,クレームへの対応策をアドバイスさせていただきますし,病院での対応が困難なときは,弁護士からクレーマーへ直接対応させていただきます。
(4) 医療事故
医療事故が発生した場合,患者や遺族から事故の経緯について説明を求められます。また,メディアに向けた説明会の開催等の対応を行う必要もあります。患者から病院に対して,医療事故による損害賠償請求が行われる可能性が高く,事故後の説明は,患者の感情を悪化させないためにも重要です。
顧問弁護士にご相談いただければ,事故後の適切な対応を行うことで,訴訟に発展する前に話し合いで解決することが出来ます。
仮に,訴訟に発展したとしても,必要な証拠を収集して反論を行うことで,過剰な損害賠償責任を回避することが可能です。
(5) 未払金の回収
病院には応召義務があるため,信用性に問題のある患者に対しても診療を拒否することは原則的として出来ません。医療費の患者負担割合の増加もあり,診療費の未払いは増加傾向にあるため,未払金の問題は,病院の経営に関わる深刻な問題です。
顧問弁護士がいれば,未払い患者との支払交渉を依頼することが可能です。弁護士からの請求となると,多くの場合,未払い患者も素直に支払いに応じます。それでも支払いに応じない場合は,支払督促等の裁判所を通じた制度の利用や訴訟により,未払金を回収していきます。
終わりに
顧問弁護士がいれば,上記のようなトラブルに対し,初期の段階から気軽にご相談いただき,早期対応させていただくことが出来ます。また,トラブル対応に限らず,契約書のチェックや行政機関への対応等にも幅広く対応させていただきます。
病院・クリニックについて問題点を抱えていらっしゃる方は,是非,顧問弁護士の契約をご検討ください。
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