非正規社員に賞与や退職金は払わなくても良い?(同一労働同一賃金の原則) ご存じの方も多いと思いますが、今月
反社会的勢力排除条項
目次
1 反社会的勢力排除条項とは
契約の相手方が反社会的勢力に該当することが判明した場合に、解除権を認める規定のことをいいます。
そもそも、契約はいったん成立すると、それに両当事者が拘束されることになり、契約の相手方が反社会的勢力であることが後から判明したからといって、そのことを理由として契約を破棄することは、錯誤無効や詐欺取消の要件を充足する場合等を除いて、原則として許されないものと解されます。そこで、反社会的勢力排除条項が必要となります。
2 注意点
(1)「反社会的勢力」という概念自体、そもそも抽象的な側面が強いため、できる限り明瞭な定義規定を設ける必要があります。また反社会的勢力の構成員は、暴力団員であることを隠して表面的には暴力団員でないように装ったり、暴力団を脱退したり破門されたかのように装うケースもあります。そこで、そのような偽装工作がなされている場合にも対応できるような定義規定にする必要があります。
(2)契約の関係者が反社会的勢力に属しているかを問う「属性要件」のみならず、相手方が一定の後遺をしたときにも解除権が発生するよう「行為要件」をも定めておき、「属性要件」か「行為要件」のいずれか一つを満たせば、解除できるようにしておく定め方が一般的です。
(3)解除権の発生要件と共に、解除権を行使した場合に、解除権を行使した当事者は、その解除によって発生した損害について賠償責任を負わず、逆に解除された当事者は、解除した側の当事者に発生した損害を賠償する旨の定めを置くことが一般的です。
3 条項例
1 甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。
(1)自ら又は実質的に経営権を有する者が、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ロゴ、特殊知能暴力集団、若しくはこれらに準ずる者又はその構成員、又はこれらに過去5年以内に該当したことがある者(以下、これらを総称して、「反社会的勢力」という。)ではないこと。
(2)自らの役員(取締役、執行役、監査役、執行役員又はこれらに準ずる者をいう。)が反社会的勢力ではないこと。
(3)反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものではないこと。
(4)自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 風説を流布し、偽計若しくは威力を用いて相手方の業務を妨害し、または信用を棄損する行為
ウ 法的な責任を超えた不当な要求行為
2 甲又は乙は、相手方が次の各号のいずれかに該当した場合には、何らの催告を要せずして、本契約を解除することができる
(1)前項第1号又は第2号の確約に反する申告をしたことが判明した場合
(2)前項第3号の確約に反し、この契約を締結したことが判明した場合
(3)前項第4号の確約に反した行為をした場合
3 前項の規定により本契約が解除されたときは、解除した者は、当該解除により解除された者に生じた一切の損害について、賠償責任を負わない。
4 第2項の規定により本契約が解除された場合、解除した者に、当該解除により生じた損害があるときは、解除された者は当該損害(合理的な弁護士費用を含む。)を賠償するものとする。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
最新記事 by 弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ (全て見る)
- “働きがいも経済成長も“を目指す企業さまを対象に「SDGs労務コンサルティングプラン」をリリース! - 2022年10月28日
- ベンチャー法務 ~知的財産 - 商標編~ - 2021年12月28日
- 法律事務所瀬合パートナーズ通信 - 2021年3月4日