消費税増税に伴い契約書に入れておきたい条項
目次
【相談例】
賃貸経営をしている者です。借主と賃貸借契約を締結しているのですが、契約書における月額賃料の表記を「108万円(消費税込)」と記載しています。令和元年10月1日以降、消費税が8%から10%へ増税される予定ですが、借主はこの表記を理由に増税後も110万円ではなく108万円しか支払わないと主張しています。私は、借主の主張に従わないといけないのでしょうか?
1.消費税の表記と消費税転嫁対策特別措置法
上記表示は、消費税転嫁対策特別措置法に基づく総額表示例を参考にされたものと思われます。
たしかに賃料の表記をそのまま読むと、増税後も108万円しか請求できないようにもよめます。しかし、税率10%が適用される取引について、税率引き上げ前の取引金額(税込)のまま据え置くことは、合理的な理由がない限り、「買いたたき」として、消費税転嫁対策特別措置法上問題となり得ます。
ご相談いただいた内容では、合理的な内容とはなりませんので、相手方の主張は消費税転嫁対策特別措置法に違反するおそれがあります。
したがいまして、借主の方にその旨お伝えしていただいて、増税後の賃料(110万円)を支払っていただくように交渉してみてください。それでも交渉に応じない場合には、公正取引委員会や事業所管官庁等にご相談ください。
2.消費税の改正と契約書に入れておきたい契約条項
今後、このようなトラブルに巻き込まれないためにも、あらかじめ賃貸借契約書には、「第●条の賃料は、税法の改正により消費税等の税率が増減した場合には、改正税法施行日以降における増減後の税率により計算した賃料額とする。」旨、明記しておくとよいでしょう。
3.印紙税の表記方法
なお、ご相談いただいた消費税の記載方法ですと、印紙税法上、消費税額等が必ずしも明らかであるとはいえず、記載金額は、108万円として扱われ、第2号文書の場合、印紙税額は2000円となります。これに対し、消費税の記載方法を「賃料108万円うち消費税額等8万円」等と記載しておけば、消費税額等8万円は記載金額には含めませんので、記載金額100万円の第2号文書となり、印紙税額は1000円となります。
このように、ちょっとした表記次第で印紙税は変わります。特に御商売をされている方は、多くの契約書等に同じ表記方法を使われていることが多く、貼付すべき印紙税の合計額の差はかなりのものになると思われます。
令和元年10月1日から、消費税が増税される予定ですので、これを機に契約書等の消費税の表記方法について、見直されることをお薦めします。
消費税・印紙税と契約書の問題でお悩みの企業様は、この分野に詳しい弁護士に一度ご
相談ください。
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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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