契約書の形式について
目次
契約とは
契約とは、当事者同士の合意に基づいて権利義務関係を発生させる法律行為のことをいいます。
契約は、契約当事者の自由な意思によって決められます(契約自由の原則)。
誰と(相手方選択の自由)、どのような方法で(内容決定の自由)、どのような方式で(方式の自由)契約するかは、原則として自由なのです。
そして、合意した内容は契約の当事者を拘束することになります。
ただし、契約自由の原則にも一定の例外があり、公序良俗に違反する内容の契約や、強行法規に違反する内容の契約は無効になります。
契約は、口頭でも成立しますので、必ずしも契約書を作成しておかなければならないということはありません。
しかし、書面を交わしておいた方がトラブルになりにくいということもあり、契約の際には契約書を作成することが一般的になっています。
契約書に記載する事項
契約書には、契約当事者双方に誤解が生じないように、契約内容を具体的に記載するのが原則で す。
契約書は、通常、以下の事項によって構成されます。
① タイトル
② 前文
③ 契約の内容(条、項、号)
④ 後文
⑤ 作成年月日
⑥ 当事者の表示
これから、各項目についてのポイントを見て行きましょう。
タイトル
契約書のタイトルについて、決まりはありませんが、契約の内容を一目で把握できるような記載にするのが一般的です。
「売買契約書」「取引基本契約書」「秘密保持契約書」など典型的なタイトルにするのがわかりやすくて良いかもしれません。
「合意書」「覚書」などのタイトルでも、内容やその他の事情から、当事者間で法的効力を持たせることが予定されていれば契約書となります。
前文
契約書の冒頭に書かれれるもので、例えば、以下のような記載のものです。
「〇〇株式会社(以下「甲」という。)と株式会社△△(以下「乙」という。)は、甲乙間の取引の基本事項について、次のとおり契約を締結する」
前文は、契約当事者や契約内容の特定などのために設けられています。
当事者等や対象物の略語等を設定することが主要な役割になっています。
契約の内容(条、項、号)
契約の具体的な内容となる部分を契約条項として記載します。
契約条項によって契約の具体的内容が確定するため、分かりやすく記載することを意識しましょう。
契約の中心となる部分から順に記載し、特約条項等を設ける場合には、特約条項であることがわかりやすいように記載することが大切です。
後文
以上の合意が成立したことを証するため、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。
後文は、当事者の間で合意が成立した事実や契約書の作成通数を明らかにするために設けられています。
作成年月日
契約成立の日を明らかにするために記載されます。
作成年月日は、あまり意識せず記載したり、場合によっては空欄にすることもありますが、契約の有効期間を確定したり、契約期間の満了日などを計算する際に必要になるなど、日付は重要なものになります。
契約書の締結日として記載する日付を、実際に調印した日ではなく、それよりも前の日付を記載することがよく見られます。
これは、契約書を作成する前に、すでに当該契約の取引が始まっているような場合に、それに辻褄を合わせる形で日付を遡らせて記載するものです。
しかし、実際の日ではない日付を記載することは、契約書の信頼性にも疑義を生じさせるおそれや、その他の想定外のリスクが生じるおそれがあるため、避けた方が良いでしょう。
先に取引が始まっており、その後にその契約書を作成するという場合は、実際に調印する日付を記載した上で、契約書の内容に「この契約の効力を取引開始時点に遡らせる」という内容を盛り込む方法で対応した方が良いでしょう。
当事者の表示
契約の当事者が、署名又は記名捺印をして、契約当事者であることを示す箇所です。
(甲) 神戸市中央区中町通2丁目1-18 JR神戸駅NKビル9階
株式会社SEGOU
代表者代表取締役 瀬合孝一
会社の場合は、会社名の記載のみでは不十分で、契約の締結権限がある者(代表取締役など)の名前を記載する必要があります。
自署でサイン(=署名)をする必要はなく、会社のゴム印等を押す「記名」の方法でも問題ありません。
記名の場合は、社会通念上、押印が必要となります。押印をもって、契約締結を行うという意思を明確にしたものと考えられます。
ここで使用する印鑑は、会社の認印で良く、実印(登録印)によって押印する必要はありません。
ただ、実印は認印よりも証明力が強く、本人の意思によって契約がなされたということを証明する力が強いことになります。
このため会社にとって重要な契約書を締結する場合は、実印を使用する方が良い場合もあります。
契約書に使われる用語の意味について
甲乙
契約当事者について、「株式会社〇×(以下「甲」という。)」など略称を使うことが一般的です。
現代ではほとんど馴染みがありませんが、契約書を作成するときは、順番に「甲・乙・丙・丁・戊」とするのが一般的です。
甲を債権者、乙を債務者として使うこともありますが、誰に何の略称を当てるかなどについては決まりはありません。(ABCDEと同じように使うイメージです)
乃至(ないし)
「第1条ないし第4条については、〇〇の場合についても準用する」などと記載する場合です。
ここでの意味は、「第1条または第4条」(第1条か第4条の2つのうちどちらか)という意味ではなく、「第1条から第4条」(第1条から第4条までの4つすべて)という意味になります。
日常用語で使う意味と異なるため、注意が必要です。
直ちに、速やかに、遅滞なく
「直ちに」は、文字どおり、今すぐに・即時に、という意味になります。
「速やかに」は、できるだけ早く、という意味になります。一方の側で可能な限り早くすればよいという程度の意味となります。
「遅滞なく」は、事情の許す限り最も早く、という意味となります。遅れたことに正当な理由があれば、その範囲の遅れは問題がないことになります。
契約書を作成したいが問題がないか知りたい、契約書を作ってもらいたいなど、契約書についてお悩みの方は、。是非一度、法律事務所瀬合パートナーズにご相談ください。
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