映画の作品タイトルと不正競争防止法
目次
Q 映画の作品タイトルは不正競争防止法2条1項1号の商品等表示にあたるか
A-1 はじめに
映画の作品タイトルは,一般に,その映画の内容を示すものであって,映画制作会社や放送局などの映画の出所を示すものではないため,映画の制作や配給そのものを指定役務として商標登録することは難しいとされています。商標法3条1項3号は,品質等の表示は商標登録できないとしていますが,映画の作品タイトルは,品質を表示するものにあたると判断されるのが通常です。
A-2 不正競争防止法により保護されるか
商標登録がない場合でも,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示として周知性がある等の要件を満たせば,不正競争防止法により保護されることになります。もっとも,商品等表示とは,「人の業務に係る氏名,商号,商標,標章,商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの」であり,商標と同じく,その商品の出所を表示する機能を果たすものであるため,やはり,映画の作品タイトルが,出所を表示するものといえるかどうかが問題となります。
A-3 マクロス事件
映画の作品タイトルが,商品等表示にあたるかどうかが争われた裁判に,マクロス事件があります。知的財産高等裁判所平成17年10月27日判決は,映画の作品タイトルである「マクロス」という表示について,「「マクロス」という本件表示は,本件テレビアニメ,本件劇場版アニメ等により,映画を特定する題名の一部として社会一般に広く知られるようになったことは認められるものの,それ以上に,本件証拠によっても本件表示が事業者たる控訴人の商品又は営業を表示するものとして周知ないし著名になったとまで認めることができず,本件表示は控訴人の商品等表示に該当しないというべきであるから,被控訴人らが「超時空要塞マクロスⅡ」,「マクロスプラス」等の題名の映画を製作・販売する行為が不正競争防止法2条1項1号・2号に該当するとする控訴人の主張は失当である。」と判示して,「マクロス」という表示は,控訴人の商品等表示に該当しないと判断しました。
このように,映画の作品タイトルは,なかなかその商品の出所を表示する機能を果たしているとは言い難いようです。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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