株主総会とは
目次
第1 初めに
株主総会とは、議決権を有する全ての株主によって構成される株式会社の最高意思決定機関のことをいいます。株主総会は、会社運営にあたって重要な事項を株主自身が判断するために開かれるもので、全ての株式会社に必須の機関です。
そこで今回は、最低限知っておくべき株主総会のルールについて解説していきます。
第2 株主総会の種類
1 定時株主総会
定時株主総会とは、毎事業年度の終了後一定の時期に行われるものです。会社法は、定時株主総会の開催義務を定めてはいるものの、具体的な開催時期については特に規制していません。ただ、日本の上場会社の場合には、事業年度を3月末までとした上で、その3か月後である6月下旬に定時株主総会を開催するのが通例となっています。
定時株主総会では、主に年度決算や役員の選任等について決議することが多いでしょう。
2 臨時株主総会
臨時株主総会とは、定期株主総会以外の株主総会のことを指し、必要に応じて随時開催されるものです。
株主総会の決議事項として会社法に定められているものであれば、臨時株主総会の中で決議することができます。
第3 株主総会の流れ
1 招集手続
1 招集手続
株主総会は、原則として取締役が招集することになります。
株主総会を開催する場合、取締役は、開催する日時や場所、株主総会の目的である事項(議題)等を決定した上で、それらを記載した招集通知を株主に対して送る必要があります。この招集通知は、公開会社の場合は開催日の2週間前、非公開会社の場合は1週間前までに送らなければなりません。
2 株主総会当日
当日は、議長の運営に従って、手続が進行されていきます。
具体的には、招集通知に記載された議題について、議案の提案者による趣旨説明の後、質疑応答や意見交換を行った上で、決議が行われます。ここでいう「議案」とは、議題に関して具体的に決議に付す事項のことをいい、例えば、「取締役選任の件」という議題であれば、「Xを取締役にする」というのが議案になります。
3 議事録の作成
株主総会の議事や決議結果については、議事録を作成しなければなりません。
株式会社は、作成した議事録を本店に10年間備え置く必要があり、株主や債権者から閲覧謄写請求があった場合、原則としてこれを拒むことはできません。
第4 株主総会の決議方法
株主総会決議には、決議事項の重要度に応じて、普通決議、特別決議、特殊決議の3種類が使い分けられています。
1 普通決議
普通決議とは、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数要件)、出席株主の議決権の過半数をもって行う(決議要件)決議のことをいいます。
定足数要件とは、株主総会を成立させるために最低限必要な株式・株主数のことを指し、例えば、行使可能な議決権が100個ある場合、51個以上の株式を有する株主が出席する必要があります。ただ、普通決議の場合、この定足数要件は定款によって排除することができます。
株主総会決議の原則形態が普通決議であり、役員の報酬や剰余金の配当等については、普通決議によってなされます。
2 特別決議
特別決議とは、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議のことをいいます。
特別決議の場合、定足数要件を3分の1まで減らすことはできますが、普通決議と異なり、定足数要件自体を排除することまではできません。
会社や株主の地位に重大な影響を及ぼすものについては特別決議が要求されており、定款の変更や合併・会社分割等の組織再編を行う場合には、特別決議を経る必要があります。
3 特殊決議
特殊決議は、会社や株主の地位に及ぼす影響が特別決議事項よりもさらに大きい場合に必要となる決議です。
特殊決議は、以下の2種類が存在します。
①議決権を行使できる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる賛成を必要とするもの
→発行済株式の全部に譲渡制限を設ける旨の定款変更する場合等
②総株主の半数以上であって(議決権の有無を問わない)、総株主の議決権の4分の3以上にあたる賛成を必要とするもの
→非公開会社において、剰余金配当、残余財産分配、議決権について、株主ごとに異なる取扱いをする旨の定款変更をする場合
特殊決議は、普通決議や特別決議のような定足数要件はないものの、決議要件として、株主の人数と議決権数の両方を要求しており、その基準も厳しく設定されています。なお、①②いずれについても、決議要件を定款で加重することができます。
第5 終わりに
今回は、株主総会の基本的なルールについて解説いたしました。
株主総会を開催したとしても、上記ルールに違反すれば、決議が無効となってしまうおそれがあります。
株主総会の運営についてお悩みの方は、この分野に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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