株主総会の議事録に記載すべき事項・リスクについて

1 株主総会議事録の作成義務等

 会社法318条1項は、株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならないとしています。法務省令とは会社法施行規則であり、同規則72条がこれにあたります。同規則72条2項は、議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならないとしています。
 議事録は、株主総会の日から10年間、本店に備え置かなければなりません(会社法318条2項)。支店においては、株主総会の日から5年間、議事録の写しを備え置かなければなりませんが(同条3項本文)、議事録が電磁的記録で作成されている場合であって、インターネットなどの電気通信回線を通じて支店のパソコンなどで閲覧できる場合は、備え置かなくてもよいとされています(同項ただし書、会社法施行規則227条2号)。
 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも議事録の閲覧又は謄写を請求することができます(会社法318条4項)。株式会社の親会社の社員も、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、閲覧又は謄写を請求することができます(同条5項)。

 

2 議事録に記載すべき事項

 会社法施行規則72条3項は、次のとおり、議事録に記載すべき事項を定めています。

① 株主総会が開催された日時及び場所
  主たる会場以外に別の会場を設けた場合や、ウェブ会議により株主総会に参加した場合など、当該場所に存しない取締役や株主などがいる場合は、その出席の方法を記載します。
② 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
  株主総会における報告、質問とそれに対する回答、決議事項についての賛否、採決の内容などを記載します。
③ 会社法の規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
④ 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
⑤ 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
⑥ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

 

3 議事録の作成義務等に違反した場合のリスク

 議事録を備え置かない、正当な理由がないのに議事録の閲覧・謄写請求を拒んだときは、取締役等は100万円以下の過料に処せられます(会社法976条4号、8号)。
 また、議事録に実際の株主総会の内容と異なる内容が記載されていた場合、株主総会の決議内容と異なった登記がなされてしまう可能性があります。
 このほか、議事録は、株主総会決議の成立や内容についての重要な証拠になるため、議事録を作成していなかったり、不備があったりすると、裁判等で株主総会決議の成立や内容が争われた場合の立証が困難となります。

 

4 まとめ

 このように、株主総会の議事録を作成することは必須であるため、議事録の作成方法等に疑問がある場合は、弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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