借主の逮捕・収監と建物明渡

1.借主の逮捕・収監と貸主の対応

 長年賃貸経営をしていると、借主が逮捕・収監されたために、賃料も支払われずに賃貸物件に誰も居住していない状況が続くことがあります。このような場合、貸主はどのように対応すればよいでしょうか。

2.貸主の対応方法

(1)このような場合、貸主としては、まず借主と面会し、任意の明渡しをしてもらうため、借主が実際にどこの刑務所に収監されているかを調査する必要があります。収監されている刑務所の場所を調査する方法ですが、弁護士に事件の処理を依頼し、弁護士照会を利用する方法があります。

 弁護士照会とは、事件処理の委任を受けた弁護士がその事件処理の必要のため、所属の弁護士会を通じ、公務所等に照会することができる制度です。ただし、あくまで弁護士が受任事件を処理するために必要な限度で行使できるものですので、弁護士に具体的な事件を依頼する必要があり、調査だけを依頼することはできないことに注意してください。

(2)具体的な照会先ですが、東京の「法務局矯正局成人矯正課」に照会することになります。ただし、収監自体は、刑事事件で有罪判決を受け、確定しないと刑務所に送られないので、逮捕されてから数ヶ月たたないと照会できないおそれがあることに注意してください。

 収監されている刑務所がわかれば、実際に収監されている借主に面会し、借家契約の合意解約、動産類の親族への引き渡し又は残置物の所有権放棄と破棄処分等について、事前に作成した同意書を持参し、借主の署名・捺印をもらいましょう。

 仮に、借主から上記同意書がもらえない場合、明渡訴訟・滞納家賃の支払い請求訴訟を起こす必要があります。その場合でも、訴訟の費用や時間がかかることから、できる限り、上記同意書をもらうことで、訴訟を回避するように努めることをお勧めします。

 賃貸経営でお困りの方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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発行日:2021.03.04

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