Q.取締役を辞任したいのですが、どのような方法でできますか?

A(1) 辞任の時期

photo19 取締役は、原則として、いつでも辞任できる上、辞任には会社代表者の承諾は必要ありません。

 ただし、会社のために「不利な時期」に取締役を辞任した場合には、会社の損害を賠償しなければなりません。

 この「不利な時期」とは、一般的に、取締役が辞任したとき、会社が遅滞なく他人にその事務処理を委任するのが困難な時期などを言うと考えられています。

 したがって、辞任する取締役が、すぐに代替がきかないような業務について、後任への引き継ぎも行わず、通常であれば引き継ぎができる期間もおかず突然に辞任したという場合、「不利な時期」と判断される可能性があります。しかし、この点はケース・バイ・ケースであることを留意してください。

 もっとも、取締役にとって「やむを得ない事由」があるときは上記損害賠償の責任を負いません(民法651条2項)。例えば重大な健康の問題が生じ、取締役の職務の継続が健康に重大な影響を与えるという場合がこれに該当するものと考えられます。ただし、この点もケース・バイ・ケースであることに留意してください。

A(2) 辞任の方法

 会社に対して、辞任したい旨の意思表示をすれば、辞任の効力が生じます。この辞任したい旨の意思表示は、口頭でも構いませんが、通常は、辞任の意思を明確にするために、代表取締役に辞表を提出する形で行われます。

 ここで、注意しなければならないのが、辞任の効力が生じたとしても、ある取締役の辞任によって、取締役の最低人数を欠く場合(例えば取締役が3人必要と定めている会社で、1人が辞任する場合)、辞任した取締役は、新たに選任された取締役が就職するまでの間、取締役としての権利義務を有することが規定されていることです。

 このような取締役は「権利義務承継取締役」と呼ばれ、会社との関係で役職を辞したつもりでいても、取締役としての権限だけでなく、義務も残ってしまっています。この問題を解決するためには、裁判所に対し「一時役員の職務を行うべき者」(いわゆる「仮取締役」)の選任の申立を行い(会社法346条2項)、裁判所がこの仮取締役を選任し、役員の定員を充足させることによって、権利義務承継取締役としての地位から脱する方法があります。

 ただし、この方法は非常に手間ですし、会社としても辞任した取締役に権利義務が残っていることのデメリットやリスクを考えるのが通常です。したがって、会社と次の取締役を早急に選任するよう交渉することで解決する場合が多いと思われます。

 さらに、もう1点留意すべき点があります。それは、会社に対して辞任の意思表示をすれば、会社に対しては取締役辞任の効力が生じますが、会社以外の第三者に対する関係においては、取締役の退任の登記をしないと、辞任したことを知らない第三者に対しては「自分は取締役を辞任している」と主張することができない、ということです。

 取締役の退任の登記は、代表取締役が証明書類を添付して法務局に申請するのが通常です。しかし、代表取締役がこの退任登記手続に協力してくれないケースも十分に考えられます。この場合、裁判所に訴訟を提起し、判決を得て変更の登記をすることができます。

 また、登記に関する訴訟が終わるまでに、第三者との間で紛争が生じ、責任を追及される可能性があるならば、取締役を辞任している事実を責任追求しそうな第三者に通知しておくことが考えられます。


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