改正建設業法

1 はじめに

 「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」(以下,「改正法」といいます。)が,令和元年6月12日に公布されたのはご存知でしょうか。

 これは,建設業における長時間労働の常態化や現場の急速な高齢化の進行に対処するため「建設業の働き方改革の促進」「建設現場の生産性の向上」「持続可能な事業環境の確保」という観点から建設業法を改正するものです。

 具体的にどのように変わるのか重要な改正ポイントをチェックしていきましょう。改正建設業法は条文により施行日が異なり、下記の条文のうち、改正法34条の施行日は令和元年9月1日、改正法27条の施行日は令和3年4月1日、その他の条文の施行日は令和2年10月1日となっています。

 

2 改正の概要

建設業の働き方改革の促進

ア 著しく短い工期の禁止(改正法19条の5)

注文者は、注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならないとされました。

著しく短い工期であるかは、許可行政庁が工事ごとに,➀休日や雨天による不稼働日など、中央建設業審議会において作成した工期に関する基準で示した事項が考慮されているかどうか,②過去の同種類似工事の実績との比較,③建設業者が提出した工期の見積りの内容の精査,によって,個別に判断することになります。

対象となるのは,建築一式工事は1500万円以上、その他の建設工事は500万円以上である場合です(建設業法施行令第5条の8)。

建設業の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、違反した注文者に対して必要な勧告をすることができ、注文者が是正勧告に従わない場合は,企業名を公表することができます(改正法19条の6第2項,同3項)

 

イ 中央建設業審議会が工期に関する基準を作成(改正法34条)

中央建設業審議会は,「建設工事の工期に関する基準」を作成して,その実施を勧告します。令和2年7月31日に基準案の実施が勧告されています。

 

ウ 工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供(改正法20条の2)

注文者は、建設工事について、「工期等に影響を及ぼす事項」があるときは、 請負契約を締結するまでに、建設業者に必要な情報を提供しなければなりません。

 

エ 下請代金の支払方法(改正法24条の3)

元請けは,下請代金のうち労務費に相当する部分について,現金で支払うように配慮しなくてはなりません。

 

建設現場の生産性の向上

ア 監理技術者の専任義務の緩和(改正法26条)

 工事現場に管理技術者を専任でおくべき建設工事について,管理技術者の職務を補佐する者を専任でおいた場合には,管理技術者が複数現場を兼任することが可能になりました。

 

イ 元請の管理技術者を補佐する制度の創設(改正法27条)

 技術検定試験を学科と実地を加味した第1次と第2次検定に再編成しました。第1次検定合格者に技師補の資格を付与することで,若者が技師補として現場で働き早期に活躍できるようになりました。

 

ウ 専門工事一括管理施行制度の創設(改正法26条の3)

 一式以外の一定の金額未満の下請工事について,元請が注文者の承諾と下請建設業者の合意を得た場合,元請工事現場に専任でおく主任技術者が,下請の置くべき主任技術者を併せて行うことができることとして,下請の主任技術者の設置が不要になりました。

 

エ 建設資材製造業者等に対する勧告及び命令等(改正法41条の2)

 建設業者による建設生産物に,資材に起因した不具合が生じた場合,国土交通大臣等の許可行政庁から建設業者等への再発防止の指示に併せて,建設業者に建設資材を納入する建設資材製造業者にも再発防止に向けた勧告を行えるようになりました。

 この勧告に従わない場合は,許可行政庁はその旨を公表又は勧告に係る措置をとるように命じることができます。

 

持続可能な事業環境の確保

ア 社会保険(改正法7条,改正建設業法施行規則)

 下請の建設企業も含めた社会保険加入の徹底のため,社会保険に未加入の建設業者は,経営業務を適性に行う能力のない者として建設業の許可・更新を認められないようになります。

 

イ 合併・事業譲渡(改正法17条の2)

 以前は,合併により新会社を設立する場合には,改めて許可行政庁に対して建設業の申請を行い許可取得する必要があり,許可取得までの数カ月は建設業を営むことができないという弊害がありました。

しかし,改正後は,事前認可の手続きを行うことにより合併の効力発生日から円滑に新会社が許可を取得できるようになりました。

 

3 終わりに

 いかがでしたでしょうか。今回の改正は検定制度も変わる25年ぶりの大幅改正です。社会保険制度加入が事実上義務付けられる等により、建設業を営む方は建設業改正への対応をしていく必要が出てくるでしょう。建設業の法務問題にお悩みの経営者の方は、この分野に詳しい是非弁護士にご相談ください。

 

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