Q.退職者が会社の顧客情報を利用した場合の対処方法は?

質問

 退職者が会社の顧客情報を利用して顧客の勧誘をしていることが判明しました。何か対処方法はありますか?

回答

 不正競争防止法は、窃取等の不正な手段によって取得した営業秘密を使用する行為(侵害行為)が行われている場合に、裁判所に対して、侵害行為の差止め、侵害行為に関連した物の廃棄及び損害賠償を認めています。退職者が会社の顧客情報を持ち出し、これを利用して顧客を勧誘する行為は、上記の侵害行為に該当する可能性があります。

 もっとも、顧客情報が不正競争防止法上の「営業秘密」と認められるためには、当該情報が、①事業活動に有用な情報であること、②秘密として管理されていること、③公然と知られていない情報であることの3つの要件を満たしていることが必要です。このうち、特に②の要件については、当該情報にアクセスできる人間を制限しているか否か、マル秘の押印をするなどして他の情報と区別されているか否か等が問題となりますので、注意が必要です。

 また、仮に顧客情報が「営業秘密」と認められたとしても、退職者に対し損害賠償金の支払いを求めるためには、「退職者が顧客情報を利用して勧誘行為を行ったことによって会社が損害を受けた」ということを立証しなければなりません。

 ここでは、①会社に損害が生じたこと、②その損害が、退職者が顧客情報を利用したことが原因で生じたことの2点を具体的に立証する必要があります。例えば、会社の売上げが減少しなかった場合や、退職者に営業能力があり、単に当該退職者が退職したという事実だけで会社の売上げ減少が見込まれた場合(顧客情報の利用が関係ない場合)には、損害賠償の請求は認められない可能性が高いです。

 以上のとおり、退職者の顧客情報の利用については、事後的な対応には限界がありますので、事前に就業規則及び誓約書で顧客情報の持ち出しを禁止しておくことが得策です。


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発行日:2016.03.22

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