Q.台風・豪雨時の損害賠償責任

質問

 先日の台風で、自社社屋の屋根の一部が飛散してしまい、隣接のビルを一部破損してしまいました。

このような自然災害の場合でも、当社は隣接のビルのオーナーに対し、損害賠償責任を負うのでしょうか?

回答

 民法717条の土地工作物責任の有無が問題となります。

民法717条第1項は、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。

ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」旨、規程しています。

この「工作物の設置又は保存の瑕疵」がある場合、第一次的には工作物の占有者が、第二次的には工作物の所有者が、その倍賠償義務を負います。

「工作物の設置又は保存の瑕疵」とは、通常備えるべき安全性が欠けている場合をいい、その判断の要素としては、

①本件構造物の有していた構造、設置状況、その他地質状態、

②本件災害が本件構造物に与える影響の程度、

③崩壊の原因、

④①が当時予想しうる安全性を担保していたか否か、

⑤本件災害の程度等を考慮することになります。

 ただし、事故前の状態については被害者側に立証責任がありますので、被害者側にとっては、賠償責任が認められるためのハードルは高いといえるでしょう。

 

 ご相談の場合、台風の程度、自社社屋の屋根の設置状況、過去に体験した災害の有無・程度等によって、賠償責任の有無を判断されることになります。

 なお、賠償責任保険の支払対象になる可能性もありますので、保険の加入状況についても、一度ご確認ください。 

 

災害時の損害賠償責任の問題についてお悩みの経営者の方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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発行日:2021.03.04

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