株主総会の流れ
目次
第1 はじめに
株主総会は、会社運営に関する重要事項を株主自身が決定するために開かれる会議体のことを指し、全ての株式会社に必須の機関とされています。
株式会社は、毎年必ず株主総会を開催しなければならないため、当然その概要をおさえておく必要があります。
そこで、今回は株主総会の流れについて、会社法の条文に沿って解説していきます。
第2 株主総会とは
株主総会とは、冒頭でも述べた通り、会社運営に関して株主が意思決定するための機関であるところ、定時株主総会と臨時株主総会の2種類が存在します。
定時株主総会とは、毎事業年度の終了後一定の時期に行われるもので、主に年度決算や役員の選任等について決議がなされます。
これに対し、臨時株主総会とは、定期株主総会以外の株主総会のことを指し、必要に応じて随時開催されるものです。
第3 株主総会の流れ
株主総会は、大まかに①株主総会招集の決定→②招集通知の発送→③株主総会当日→④議事録の作成・保存という流れで進んでいきます。
以下、それぞれのステップについて、解説を加えていきます。
1 株主総会招集の決定
株主総会を行うためには、まず、招集決定を行わなければなりません。
取締役会設置会社の場合には、取締役会を開き、その中で株主総会の招集決定を行います(会社法298条4項)。一方、取締役会非設置会社の場合、各取締役が招集決定を行うことになりますが(296条3項)、取締役が複数いる場合には、その過半数をもって招集決定を行う必要があり(348条2項)、1人の取締役が独断で招集決定を行うことはできません。
また、招集決定にあたっては、以下の事項を定める必要があります(298条1項各号)。
⑴ 株主総会の日時及び場所 ⑵ 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項 ⑶ 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 ⑷ 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨 ⑸ 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項 |
取締役会設置会社の場合、「⑵ 株主総会の目的である事項」(=「議題」といいます。)以外の事項については、原則決議することができないため(309条5項)、漏れなく決めておくよう注意する必要があるでしょう。
なお、一定の要件を満たせば、株主も株主総会の招集を取締役に請求したり、直接株主総会を招集したりすることも可能です(297条)。
2 招集通知の発送
株主総会の招集が決定すると、次は、株主に対して招集通知を発送して、株主総会の開催日時や議題等をお知らせすることになります。
この招集通知は、公開会社であれば開催日の2週間前まで、非公開会社であれば開催日の1週間前までに発送しなければなりません(299条1項)。この期限は、株主に対して株主総会への出席の機会と準備の余裕を与えるために設けられたものであり、違反すれば、株主総会の決議自体が取り消されて無効となってしまうおそれもあるため、注意が必要です。
ただし、株主全員の同意があり、かつ、書面投票制度や電子投票制度を用いない場合には、招集手続自体を省略することも可能です(300条)。
3 株主総会当日
株主総会は、議長による開会宣言によって始まります。
そして、出席株主数や議決権数の確認がなされた後、まずは決議を要しない報告事項について、報告がなされます(監査役による監査報告、取締役による事業報告等)。
次に、いよいよ決議を要する事項についての審議に入ります。具体的には、取締役等から決議事項について説明がなされ、質疑応答を経た後、採決に移るという形で進行します。審議方式としては、一括審議方式(全ての決議事項について、一括で提出して審議・質疑応答を経た後に、順次採決していく方式)と個別審議方式(1つの決議事項について、個別に審議・質疑応答を行い、それぞれ採決していく方式)の2パターンありますが、進行のスムーズさから、前者を採用する会社が多いようです。
全ての審議・決議が終了すると、議長が閉会宣言を行って、株主総会は終結します。
4 議事録の作成・保存
株主総会が終わって一安心かというと、そうではありません。
株主総会を開催した場合には、議事録を作成しなければなりません(318条1項)。議事録には、株主総会の開催日時や場所に加えて、議事の経過やその結果等を記載する必要があります。
作成した議事録は、本店に10年間保存しなければならず、支店がある場合には、支店にもその写しを5年間保存しなければなりません(同条2項・3項)。
第4 終わりに
今回は、株主総会の大まかな流れについてご説明いたしました。
株主総会をスムーズに進行するためには、事前の準備をしっかりと行うことが必要です。株主総会を開催する上でお悩みを抱えている方は、この分野に詳しい弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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