雨漏り・漏水事故に対するリフォーム会社・施工業者の法的責任と対応法

1.はじめに

 住宅やテナント物件にリフォーム工事や施工工事等が原因で雨漏り・漏水事故が生じることがあります。その事故によって居住者、購入者、店舗経営者が被った損害については、誰にどのような法的責任が生じるのでしょうか。

2.住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく法的責任

(1)新築住宅の売買契約については、住宅の品質確保の促進等に関する法律(いわゆる「品確法」)が成立し、2000年4月から施行されています。欠陥住宅から買主を保護するために定められました。

 品確法では、新築住宅の売買契約について、売主は、住宅の引き渡しの時から10年間にわたって、「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に関して瑕疵担保責任を必ず負うと規定されています(品確法88条)。

(2)品確法における瑕疵担保責任の追及方法には、「瑕疵修補請求」「損害賠償請求」「契約解除」があります。買主は自らの判断で、補修工事と金銭賠償のどちらでも要求することができますし、補修工事と金銭賠償を組み合わせて要求することもできます。

(3)もっとも、「構造耐力上主要な部分」や「雨水の浸入を防止する部分」に該当しない部分(例えば住宅の内装等)については、欠陥が判明したとしても、住宅品質確保法第88条は適用されません。

 この場合は民法上の瑕疵担保責任(第570条)により、売主の責任(損害賠償請求、契約解除)を追及することになります。

 また、この対象となるのは「新築住宅」のみであり、「既存住宅」 は対象外です。 既存住宅とは、「新築後1年以上経過した住宅」および「新築後1年以内に人が居住したことがある住宅」を指します。既存住宅の場合も民法上の瑕疵担保責任(第570条)により、売主の責任を追及することになります。

3.請負契約に基づく瑕疵担保責任

 請負工事に瑕疵があった場合、所有者から責任追及されるのは、施工業者やリフォーム会社となります。

 請負契約の場合、瑕疵担保責任の追及方法には、「瑕疵修補請求」「損害賠償請求」「契約解除」があります。瑕疵担保責任の存続期間は、簡易なリフォームであれば1年、工作物といえるものであれば5年もしくは10年となります。

 請負契約の場合、瑕疵担保責任を免除する特約、瑕疵担保責任の存続期間を短縮する特約も有効です。

4.不法行為責任

(1)では、新築住宅の建築後やリフォーム工事後、10年を越えたら責任追及をされることはないのでしょうか。 

 それまで、わざわざ瑕疵担保責任があるのに、不法行為法を適用する余地があるのか、問題になっていました。 この点、不法行為法を適用する余地があると認めたのが、最高裁平成19年7月6日判例です。

(2)最高裁平成19年7月6日判例 

【事 案】
9階建の共同住宅・店舗として建築された建物を建築主から、AとXが共同で購入し、その後、Aが死亡したため、Aの財産を相続したXが、施工業者及び設計・管理業者に対して、ひび割れ、鉄筋の耐久低下等の欠陥、不具合があるとして、不法行為に基づく損害賠償請求を行ったという事案です。

【判 旨】
最高裁は、「建物の建築に携わる設計・施工者等は、建物の建築に当たり、契約関係に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである」と判示し、原審に差し戻しました。

【ポイント】
上記判例のポイントは次の4つです。

① 設計・施工業者等に建物の基本的安全性が欠けることのないよう配慮すべき義務の違反があること
② ①により建築された建物に建物の基本的安全性を損なう瑕疵が存在すること
③ ②により居住者等の生命身体又は財産が侵害されたこと
④ ②の瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がないこと

②「①により建築された建物に建物の基本的安全性を損なう瑕疵が存在すること」とは、どの程度の瑕疵であれば、建物の基本的安全性を損なう瑕疵があるといえるのか?それについての回答を示したのが、最高裁平成23年7月21日判決です(平成19年判例により、事件は高裁に差し戻され、その後、高裁で審理され判決が出た後、再びそれを不服とした上告審の判断が、この平成23年判例です。平成19年判例と平成23年判例は同じ事件についての判例です)。

(3)最高裁平成23年7月21日判決

【判 旨】
平成19年判例のいう「建物の基本的安全性を損なう瑕疵」について、「居住者等の生命、身体又は財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体又は財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当するのが相当である。」と判断し、さらに、具体的にどのような場合が建物としての基本的安全性を損なう瑕疵に該当するか列挙しました。

①当該瑕疵を放置した場合に、鉄筋の腐食、劣化、コンクリートの耐力低下等を引き起こし、ひいては建物の全部又は一部の倒壊等に至る耐え者の構造耐力に関わる瑕疵
②建物の構造耐力に関わらない瑕疵であっても、これを掘地した場合、人身被害につながる危険があるとき
③漏水、有害物質の発生等により建物の利用者の健康や財産が損なわれる危険があるとき

これらの判例により、雨漏りでも、不法行為が適用されることになりました。

(4)不法行為責任

 故意又は過失により他人に損害を及ぼす行為を不法行為といい、加害者は不法行為により生じた損害を賠償する責任を負います(民法709条)。

 不法行為に基づく損害賠償請求権については、「被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも同様とする。」とされます(同724条)。前段の3年が消滅時効の期間を定めたものであることは文言上明らかですが、後段の20年については除斥期間を定めたものと解されています。

 つまり、リフォーム会社・施工業者は、工事のミスが原因で生じた雨漏り、水漏れ事故について、引き渡してから20年間、賠償責任を負う場合があることになったのです。

5.リフォーム会社、施行業者の対応法

 上記のとおり、リフォーム会社、施工業者は、工事のミスが原因で生じた雨漏り、水漏れ事故について、引き渡しから20年間、賠償責任を負うおそれがあります。

 では、リフォーム会社・施工業者は、雨漏り、水漏れ事故に対し、どのような対応をとればよいのでしょうか。

 まずは、リフォーム会社・施工業者は、必ずこれらの事故についての賠償責任をカバーしてもらえる保険に加入しておきましょう。

 また、万一、責任追及された場合に、当時、適切に工事をしており、雨漏り、水漏れの原因は工事のミス以外(経年劣化等)によるものであることを反証できるように、当時の工事資料を工事から20年間適切に保管するようにしましょう。


 雨漏り・漏水事故の法的問題についてお困りの方は、この分野に詳しい弁護士にご相談ください。


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