賃貸借契約の中途解約条項における違約金について

photo (5) 賃貸借契約は、契約当事者の信頼関係に基づき、契約期間がある程度の長期間にわたることが予定されているのが特徴といえます。また、賃貸人は賃貸借期間がある程度続くことも踏まえて、賃料等を決定しています。

 したがって、賃貸借契約においては、賃貸人が想定していた賃料収入が途絶えるという不利益を回避するため、中途解約条項を盛り込むのが一般的です。

 賃貸借契約でよくある中途解約条項として、以下のようなものがあります。

・賃借人から契約期間中に解約する場合、1か月前に賃貸人へ通知する(解約予告期間条項
・上記「解約予告期間」に満たない場合は、不足する期間に相当する賃料相当額を支払う(損害金条項

 それでは、このような中途解約条項の有効性はどのように判断されるのでしょうか。中途解約時の違約金が高すぎる場合には、中途解約条項が無効になることがあり得ますが、明確な基準はありません。

 期間4年の建物賃貸借契約において、賃借人が契約締結後10か月経過時点で、解約の申し入れを行った事例において、残存期間3年2か月分の賃料相当額を違約金として請求したオーナーの主張を退け、1年分の賃料だけを違約金として認めた裁判例があります。当該裁判例によると、あまりに高い違約金の設定は解除を不当に制限することになること、オーナーが賃料の2重取りになることが、違約金額を制限する理由です。

 その他、解約違約金の有効性を判断する要素として以下のものがあります。

①違約金が有効となる傾向がある要素

・賃貸借契約を解除する理由が賃借人側の事情によるものである。
・礼金等の本来授受されるべき金銭の額を減額する代わりに、違約金の額が決定された。
・賃借人が違約金に関する十分な説明を聞いたうえ、契約書に署名・押印した。
・賃貸の目的物が、事業用の店舗・事務所である。

②違約金が無効となる傾向がある要素

・賃借人が、契約締結時に、違約金に関する説明をあまり受けていなかった。
・賃貸の目的物が、居住用のアパート・マンションである。

 中途解約条項及び中途解約金条項が契約書中になかったとしても、任意交渉によって「合意解除の条件」として、一定の違約金を決めることは妥当な解決です。ただし、この場合にも上記解約違約金の裁判例に準じて、「賃料請求の範囲」を「1年分まで」と制限される可能性は十分にあります。


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発行日:2016.03.22

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