コンサルティング契約書に記載すべき事項
目次
第1 はじめに
コンサルティング契約とは、委託者である顧客が、コンサルタントから、コンサルタントの有する専門的知識やノウハウ等について情報提供、指導、助言を受けることを目的として締結される契約類型のことを指します。
そして、コンサルタント契約は、コンサルタント業務の成果に応じて報酬を支払う必要が生じる「請負契約型」と、コンサルタントに継続的な相談業務等に応じてもらえることに対して報酬を支払う「委任契約型」に大別されるといえます。
この記事では、こうしたコンサルティング契約を締結する場合に作成する契約書に、どのような条項を規定するべきなのか説明したいと思います。
第2 コンサルティング契約書に記載すべき条項について
1 契約の目的・業務内容
まず初めに、なぜコンサルティング契約を締結することになったのか、その目的及び業務内容について記載する必要があります。コンサルティング契約においては、契約締結後に、ある業務が契約の内容に含まれているのか、仮に含まれているとしてもどの程度の頻度で、どのような内容のコンサルティングが行われることが予定されていたのか争いになることも少なくありません。
契約締結の際に目的や業務内容の全てを記載することは難しいかもしれませんが、契約締結時点でなるべく具体的に特定した上で記載しておきたいところです。
2 コンサルティングに対する報酬・費用
コンサルティング契約に限った話ではありませんが、報酬に関する定めは必須です。これに加えて、コンサルティング契約においては、報酬の支払いとは別に実費の支払いに関する条項を設けておくと良いでしょう。
コンサルタントが要した実費の全てを委託者が請求されてしまうと、委託者にとって過大な負担となりかねません。そのため、月額●万円までであれば必要となった実費を委託者が負担するが、これを超過する費用が発生する場合には、事前に見積書等を提示して、委託者の承認を得なければならない(承認を得ずに超過した実費について委託者は負担しない)というような条項を定めることも検討するべきです。
3 競業へのコンサルティング制限
委託者としては、コンサルティングを受けることにより、同業他社との差別化を図ることで利益を上げたいと考えているはずです。それにもかかわらず、同業他社にも同内容のコンサルティングをされてしまっては、高額の報酬をコンサルタントに対して支払っている意味が希薄化してしまいます。
こうした懸念があることから、委託者の承諾なく、同業他社に対して同内容のコンサルティングをしないことを約する条項を定めることが考えられます。もっとも、コンサルタントからすれば、こうした条項により利益を得る機会が減少するわけですから、遵守事項という程度で最低限の取り決めを行うことも検討するべきです。
4 解除条項
これもコンサルティング契約特有の話ではありませんが、どのような場合に契約の解除ができるのかは明確にしておくべきです。
特に、委託者の側からすると、コンサルティングを受けたものの、期待していたよりも乏しい結果しか得られない見込みである場合、契約の途中であっても契約を解除したいと考えるはずです。こうした場合に備えて、委託者としては、解除の●か月前までにコンサルタントに通知をすれば契約を解除できるといった条項を定めることを検討すべきです。
5 その他の条項について
これらの他にも、コンサルティングにあたって知った内容を第三者に正当な理由なく開示しないという秘密保持の条項や、反社会勢力の排除条項、契約の有効期間・更新について定めた条項、紛争化してしまった場合の裁判所の管轄を定める条項など、契約書に盛り込むべき条項は多岐にわたります。
第3 まとめ
ここまで、コンサルティング契約書にどのような条項を定めるべきか確認してきました。もっとも、本記事であげた条項例は、あくまでコンサルティング契約書全般にあてはまるものであって、個別具体的な事情に即して、契約書に定めるべき条項をより緻密に検討していく必要があります。
コンサルティング契約書の作成を考えているものの、具体的にどのような条項をどのような文言で定めればよいかお悩みの方は、一度弁護士への相談を検討してはいかがでしょうか。
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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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