法律事務所瀬合パートナーズ通信
忘れていませんか?民法改正~今年の法改正、今年のうちに!~
2020年も残りわずかとなりました。
そんな2020年,新型コロナウイルスの陰に隠れて,4月1日から改正民法が施行されました。
今回の改正は,120年ぶりの大改正といわれており,しかも改正分野が債権法中心のため,企業法務に与える影響は非常に大きいです。
しかし,今年の4月といえば,緊急事態宣言による大混乱の最中で,民法改正どころではなかった方も多かったのではないでしょうか。
そこで,今回の大改正のうち,いくつか重要な部分をまとめてみました。
「今年の汚れ,今年のうちに」ではありませんが,今年の法改正には今年のうちに対応していただき,2021年のますますのご発展につなげていただければと思います。
(1)保証契約の公正証書化が必要に!
事業用融資を対象とする保証契約については,保証契約締結前1か月以内に,公正証書を作成して,保証債務を履行する意思を確認しなければいけないことになりました(465条の6)。
公正証書を作成していない場合はその保証契約が無効になってしまいますので,注意が必要です。
ただし,保証人が主債務者の経営者やオーナー,共同事業者等である場合には,公正証書作成の必要はないとされています(465条の9)。
(2)法定利率が5%→3%に!
法定利率(契約書等に利率が定められていない場合に適用される利息や遅延損害金割合)が,年5%から年3%に変更されました(417条の2)。
これにより,債権回収の際に得られる遅延損害金が減少する可能性がありますので,契約書作成の際には利率を定めておくことが重要になります。
また,中間利息控除の際の利率も今後は3%で計算されますので,労災等による逸失利益の賠償額が増加することになります。
事業者としては,労災を防止する必要性が一層高まったといえます。
(3)「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」に!
「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められ,責任の内容として,解除や損害賠償請求のほか,追完請求権や代金減額請求権が追加されました(562条~564条)。
「瑕疵担保責任」は,売買契約書や製造委託契約書等に必ずといっていいほど登場する条項です。
契約書の雛形に「瑕疵担保」と書かれている場合は,見直しが必要です。
(4)定型約款に関する条文が新設!
実務で広く使われていた「約款」に関する規定が,初めて設けられました(548条の2~548条の4)。
約款を用いて定型取引を行う場合は,契約書において約款の存在に触れる必要があります。
また,約款の内容が契約相手にとって一方的に不利なものである場合は,約款に合意しなかったものとみなされてしまいます。
さらに,約款を変更する場合に備えて,民法の規定に従って約款を変更する場合がある等の記載をしておく必要があります。
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