法律事務所瀬合パートナーズ通信

改正民法の施行(消滅時効の改正について)

「民法の一部を改正する法律」は,平成29年5月26日に成立し,同年6月2日に公布されました。

このいわゆる改正民法は,施行日を令和2年4月1日としており,成立から約3年の期間をおいて施行された法律です。

改正民法の中でも,知っておいたほうが良い改正点として消滅時効をご説明します。

消滅時効とは,ご存知の通り,権利を有する者が一定の期間その権利を行使しないことによって権利を喪失してしまう制度です。

この消滅時効は,期間が経過すれば自動的に権利が消滅するわけではなく,債務者等の消滅時効を主張できる者が時効期間の経過を主張してはじめて権利が消滅することになります。

よって,時効期間が経過していたとしても,債権者からの請求に対し債務者が支払いをしてしまうと,それ自体は有効な支払いとなりますので,後で気づいても債権者から金銭を取り返すことはできません。

消滅時効の時効期間ですが,改正前は原則的には権利行使できる時から10年とされており,例外として様々な職種や債権の性質に応じた消滅時効期間が個別に定められていました。

しかし,このような個別の消滅時効期間は、規定を複雑化させていたことから,改正民法で廃止され,①権利を行使できることを知った時から5年,②権利を行使できる時から10年,のいずれか早く到来したほうで時効が完成する,として一元化されました。

②の「権利を行使できる時」とは,権利を行使するのに法律上障害がなくなった時のことです。

例えば,貸金の返済について返済期日を設けた場合,返済期日から返済を請求できるわけですから,返済期日が時効の起算日となります。

なお,新旧の消滅時効の規定については,施行日を適用の基準日としており,施行日前に債権が発生しているものについては旧法の適用になり,施行日以後に債権が生じる場合に新法の適用になります。

したがって,施行日である令和2年4月1日以降に金銭を借りたという方は,この改正民法の時効期間を頭の片隅に置いておかれるのがよいでしょう。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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発行日:2021.03.04

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