法律事務所瀬合パートナーズ通信

新型コロナウィルス対策に関する法律改正について

2月3日,新型コロナウィルス対策の一環として議論されてきた,新型インフルエンザ等対策特別措置法(通称:新型コロナ特措法)及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(通称:感染症法)の罰則規定新設につき,罰則規定を設けないことで与野党が合意し,改正感染症法が成立することとなりました。

今回の改正の目玉だったのが,患者が入院拒否をした場合や入院施設から逃亡した場合に懲役刑を科すことができるという点です。

国会におけるやり取りで,「入院している人がフラっと外に出た場合にも懲役刑になるのはおかしい!」というような意見があったのを偶然耳にしましたが,それはまた極論だなあという印象は受けたものの,可能性としてゼロではないという意味ではそういう批判が出てきても仕方ないのかなあとは感じました。

また,懲役刑ばかりに注目が集まり,あまり取り沙汰されていませんでしたが,罰金も前科となりますので,その点は十分に注意が必要です。

感染症法の改正については,結局のところ与党が罰則規定を削除したため,国会でのスピード成立となったようです。

ただ,違反した際に何もおとがめなしでは実効性がないということで,「過料」という行政罰の規定が設けられることになりました。

よく「かりょう」という言葉を耳にすると思いますが,同じかりょうでも「科料」は刑事罰ですので(罰金より少額のものです),使い分けが必要です。

過料は上述したとおり行政罰ですので,前科にはなりませんが,お金を支払わなくてはならないことには変わりありませんので,その意味ではある程度の実効性は確保できるのではと思っています。

10都道府県では緊急事態宣言の延長も決まりましたが,罰則も強制力もない我が国で新規陽性者数が漸減傾向にあるのはやはり国民性かなと思っています。

今回罰則規定が設けられなかったのは,感染症蔓延の防止という観点からは実効性に疑義があるというご意見もあると思いますが,もう少し日本国民を信頼してみようという期待の表れであると信じて,この自粛期間を耐えきろうと思います。

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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発行日:2021.03.04

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