千円着服した京都市バスの運転手への退職金不支給が適法とされた事例(最高裁)

令和6(行ヒ)201  懲戒免職処分取消等請求事件

令和7年4月17日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

 (全文)

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(事案の要旨)

・被上告人は、平成5年3月頃に京都市交通局の職員として採用され、同年4月からバスの運転手として勤務。
・今回の件まで、一般服務や公金等の取扱いを理由とする懲戒処分はなし。

・令和4年2月11日の勤務中、被上告人は千円札1枚を手で受取り着服した。バスのドライブレコーダーで把握され、被上告人は最終的にはこの行為を認める。

・令和4年3月2日、被上告人が懲戒免職処分を受ける。退職手当等(1211万4214円)の全部を支給しない処分がなされた。


(理由の要旨)

・本件着服行為は、公務の遂行中に職務上取扱う公金を着服したもので、それ自体が重大な非違行為である。

・バスの運転手は、乗客から直接運賃を受領し、通常1人で乗務することから、運賃の適正な取り扱いが強く要請されている。本件着服行為は、自動車運送事業の運営の適正を害し、事業に対する信頼を大きく損なうもの。

・被害金額が1000円で被害弁償がなされている、被上告人が29年勤務して公金等に関する懲戒処分を受けたことがないことを斟酌しても、退職金の不支給処分が、裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない。

 

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