ジョイントベンチャー契約(合弁契約/JV契約)
目次
1.ジョイントベンチャー契約(合弁契約/JV契約)とは
ジョイントベンチャー契約とは、複数の当事者が、共同事業を行うための組織を形成するための契約をいいます。合弁契約やJV契約といった呼び方もします。独立した当事者間の契約関係をさらに進展させたものともいえるでしょう。
ジョイントベンチャー契約は、国際契約の一つとしてもよく利用されますが、継続的売買契約、総代理店契約、ライセンス契約等といった代表的な国際契約類型ほど定型化していません。合弁事業の内容、持株比率、取締役の員数、先買権の設定等、個別の案件ごとにカスタマイズすべき点が多いのが特徴といえるでしょう。
また、日本の会社と外国の会社が合併することはできないことも、ジョイントベンチャー契約(合弁契約)が、国際契約でよく利用される理由です。
なお、ジョイントベンチャー契約は、複数の会社が法人格を残したまま別の企業体を構成することになります。複数の会社が一つになり、当事者の一部又は全部の法人格が消滅する合併とは異なりますので、ご注意ください。
2.構成される組織について
ジョイントベンチャー契約で構成される組織としては、組合のように①法人格を有しないものと、会社のように②法人格を有するものが考えられます。機関と計算にどの程度自由度を与えるべきか、構成員の責任を限定すべきか、将来上場を視野に入れるのか等といった点から、どの組織にするのが妥当か検討することが大切です。
(1)①法人格を有しないもの
典型例は組合です。共同事業による財産は各構成員の共有であり、債務も各構成員が負担するのが特徴です。また、共同事業体が法人格を有することなく、出資者の責任を出資額に限定する(これを「有限責任」といいます。)例として、有限責任事業組合というものもあります。
(2)②法人格を有するもの
典型例は、株式会社、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)です。機関と計算についての設計については、株式会社よりも持分会社の方が柔軟な設計が可能です。有限責任社員のみからなる合同会社が、比較的簡便で安価に設立しやすいことから、近時は多く利用されています。
3.ジョイントベンチャー契約を締結する際の注意点
(1)最低限規定すべき条項
ジョイントベンチャー契約を締結するにあたっては、最低限、
①JVの事業目的
②資本金
③JVに対する融資
④役員構成と意思決定方法
⑤株式(持分)の譲渡方法
⑥デットロック
の解消方法、⑦JV関係が解消した後の出資者間の義務等は、規定しておく必要があります。
特に、ジョイントベンチャーにおいては、互いの意見がまとまらず、両すくみの状態になることをできる限り避ける必要がありますので、特に⑥デットロックの解消方法が重要です。
(2)混同しやすい契約
ジョイントベンチャー契約は、一般的に新しい事業組織ができる前に締結します。ジョイントベンチャー契約は、契約の当事者である出資者を直接コントロールするものであり、会社の行動を直接コントロールするものではありません。この点で、会社の行動を直接コントロールすることを目的とする定款とは異なります。
4.まとめ
このようにジョイントベンチャー契約には特有の法的問題が多々ありますので、経営戦略をふまえ、どのような制度設計にするか等、契約内容を事前によく検討する必要があります。
ジョイントベンチャー契約に関してお悩みの企業様は、この問題に詳しい弁護士にご相談ください。
弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ
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