元請け業者がお金を払ってくれない場合の対応方法

 建築・建設業、リフォーム業においては、注文者と元請け業者の間で建設工事等の請負契約を締結した上で、更に、元請け業者が、下請け業者に対し、当該建設工事等の一部又は全部に関して請け負わせることが多々あります。このとき、元請け業者と下請け業者の間で、契約内容や請負代金の支払に関してトラブルになることが、しばしばあります。
 この記事では、元請け業者が、下請け業者に対し、請負代金を支払わないような場合に、下請け業者が取りうる対応や注意点についてお話しします。

 

1 請求・回収方法の検討

 元請け業者が、下請け業者に対し、請負代金を支払わない場合、下請け業者としては、請負代金の請求方法及び回収方法を検討しなければなりません。
 このとき、請負契約に基づく工事代金は、権利を行使することができるときから10年、権利を行使することができることを知ったときから5年で、消滅時効により消滅することには注意が必要です(だたし、2020年3月31日より以前に債権が発生した場合には、旧民法の適用を受け、時効は3年となります。)。
 また、元請け業者が特定建設業者である場合、建設業法の規制を受けます。たとえば、当該元請け業者が、下請け業者に対し、引き渡し後50日以内に請負代金を支払わない場合には、下請け業者は、51日目から支払日まで年14.6%の遅延利息を請求することができます。加えて、元請け業者が下請け業者に対して請負代金を支払わないために、下請け業者が自ら雇用する労働者に対する賃金を支払えていない場合には、特定建設業者の許可を行った行政機関から、当該元請け業者に対し、適正と認められる賃金相当額の立替払いを勧告してもらうことができます。

 

2 請負代金の回収に関する法的手続

 元請け業者の下請け業者に対する請負代金の請求・回収のための法的手続としては、支払督促や訴訟が考えられます。
 支払督促とは、下請け業者が、簡易裁判所を通じて、元請け業者に対し、請負代金の支払を文書により請求する手続です。裁判所を利用するものの、訴訟よりも簡便に手続を進めることが可能です。
 訴訟とは、当事者双方が書面により主張や反論を行い、尋問を行った上で、裁判所に判決という形で判断してもらう手続です。たとえば、当事者間で工事内容等に争いがあるために、請負代金の支払に至っていない場合等には、裁判所により一定の判断が下されることが有効といえます。
 支払督促や判決が下されたにもかかわらず、元請け業者が下請け業者に何らの応答もせず、請負代金も支払わない場合には、下請け業者は、元請け業者に対し、強制執行手続により請負代金を回収することになります。そのため、元請け業者が、資金繰りが悪化している等の経済的な事情がある可能性がある場合には、下請け業者としては、予め、元請け業者に何らかの資産や取引先に対する債権があるかどうか等を調査しておく必要もあります。
 以上のとおり、下請け業者が元請け業者に対し、未払い請負代金の請求・回収には、様々な方法があり、如何なる方法が適切であるかは、事案により異なります。そのため、下請け業者の皆様としましては、元請け業者から請負代金の請求・回収について問題が生じた場合には、早期に弁護士に相談するのが望ましいといえます。
 弊所では、建築・建設業、リフォーム業の顧問先様が多数あり、未払い請負代金の請求・回収に関する相談・紛争解決の実績も多数あります。まずは、お気軽にご相談ください。

 

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弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ

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