取締役の解任方法

1 取締役の解任とは

 取締役の解任とは、取締役の任期が満了する前に、会社が取締役を辞めさせることをいいます。解任に特に理由は必要ありませんが、解任された取締役は正当な理由がない場合、会社に対して損害賠償を請求することが可能です(会社法339条2項)。

 

2 取締役を解任する2つの方法

 取締役の解任方法は2つあります。一つは、株主総会の普通決議による方法です(会社法339条)。この方法では、いつでも取締役を解任することができます。
 もう一つは、取締役を解任する訴えを裁判所に提起する方法です。取締役に重大な不正行為があるのに、多数の株主の賛成を得ることができない場合に用いられます(会社法854条)。
 ここでは、一般的に用いられる株主総会の決議による場合について取り上げます。

 

3 取締役の解任決議までの流れ

 具体的な手続きとしては、取締役会設置会社の場合、まず取締役会を招集します。定款で取締役会の招集を行う取締役が定められていないときは、取締役であれば誰でも招集することができます。取締役会の招集通知は、取締役会の開催日の1週間前までに発送する必要があります(会社法368条1項)。
 開催された取締役会で、取締役の解任を決議するための臨時株主総会の招集を決議します。取締役会の決議には、議決に加わることができる取締役の過半数の出席と、出席した過半数の賛成が必要です(会社法369条1項)。
 その後、臨時株主総会を招集します。株主総会の招集は、取締役が行い、株主全員に対し、取締役の解任を議題として記載した招集通知を送ります。株主総会の開催日と招集通知の発送日との間は、2週間の期間を空ける必要があります(会社法299条1項)。
 臨時株主総会で、取締役の解任を決議します。取締役の解任を決議するための株主総会の定足数は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数の株主の出席です。そして、取締役の解任を決議するためには、その株主の議決権の過半数の賛成が必要です(会社法341条)。

 

4 取締役の解任の登記

 解任後は、2週間以内に取締役の解任の登記の手続きが必要になります(会社法915条1項)。これには、「株主総会議事録」と「株主リスト」、代理人による申請の場合は「委任状」の添付が必要です。
 解任の登記をしないと、解任を知らない第三者に対し、解任したことを言えなくなってしまいます(会社法908条1項)。

 

5 取締役解任のリスク

 会社は、株主総会の決議によって、いつでも取締役を解任することができますが、「正当な理由なく」取締役を解任した場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。解任された取締役から、正当な理由がなかったと争われた場合、最終的には裁判所が判断することになりますが、正当な理由があるとされやすいのは、健康上の理由で取締役としての職責が果たせない場合や、会社に重大な損害を与えた場合などです。反対に、軽微な経営判断上のミスの場合は、正当な理由がないと判断されやすいでしょう。
 正当な理由がなかった場合、損害賠償として、会社は、解任した取締役の残りの任期分の報酬と任期満了まで務めた場合の退職慰労金を支払うことが多いです。
 このようなリスクを回避するため、可能であれば取締役の任期が満了するまで待つか、取締役と話し合い、辞任を促すのがよいでしょう。

 

 取締役の解任を検討している場合は、正当な理由があるかどうか、判断が難しいことが多いため、会社法に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。これにより、法的な問題を未然に防ぎ、適切な手続きを踏むことができます。

 

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