国際裁判管轄
質問①
国際的な紛争について日本で裁判することができますか?
回答①
国際的な民事紛争を裁判することのできる国家権限のことを国際裁判管轄といいます。訴えを受けつけた日本の裁判所は,当該紛争について,日本に国際裁判管轄があるかを判断します。
国際裁判管轄の有無は,日本が加盟する条約に該当する規定があれば条約に従い,なければ民事訴訟法により判断することになります。後者の場合,原則として,被告住所地や不法行為地などの民事訴訟法上の管轄原因が一つでも日本にあれば,日本の国際裁判管轄が認められます。しかし,例外的に日本で裁判をすることが当事者の衡平や審理の適正・迅速に反するような特別な事情があれば管轄は認められません(民事訴訟法3条の9)。つまり,①管轄原因が一つでも日本にあり,②特別の事情がない場合に,日本に国際裁判管轄が認められるということになります。
質問②
特別の事情はどういった場合に認められるのでしょうか?
回答②
民事訴訟法3条の9は,特別の事情の判断として,①事案の性質,②応訴による被告の負担の程度,③証拠の所在地,④その他の事情,を考慮することを定めています。
例えば,原告が日本に訴えを提起したとしても,原告はグローバル企業であり,被告は資力のない外国に住む個人である場合,被告の経済的・心理的な負担から特別な事情が認められる可能性があります。
他にも,紛争に関する証拠が外国に集中している場合,日本よりも外国の方が証拠を調べやすいという便宜の観点から,特別の事情が認められる可能性があります。
質問③
当事者の合意によって日本で裁判することができますか?
回答③
紛争になった場合,日本で裁判することが出来ないとなるととても不便です。
当事者間で,日本の裁判所で争うと決めることは出来ないのでしょうか。
これについて,民事訴訟法3条の7第1項は,国際裁判管轄を当事者が合意によって決めることできることを定めています。もっとも,国際裁判管轄に関するすべての合意が有効となるわけではありません。国際裁判管轄合意が有効とされるには,①一定の法律関係に基づく訴えに関するものであること,②書面による合意であること(電磁的記録も可),③訴えが法定の専属管轄の対象でないこと,が必要です。また,判例上,④国際裁判管轄合意が,はなはだしく不合理で公序法に違反するものでないことも必要と解されています。
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