マンションの共用部分の改修工事について、一部の区分所有者の反対した場合の対抗策とは?

問題提起

DSC_02900017マンションの管理組合が、適法な決議にのっとって共用部分の改修工事を進めようとするも、一部の区分所有者が反対し、その協力が得られないために工事を進めることができない場合、管理組合はいかなる措置を講じることができるのでしょうか。

また、その措置として裁判を起こすことになった場合、管理組合は、反対している区分所有者に対し、弁護士費用を請求できるのでしょうか。

 

事案の概要

本件は、マンションの管理組合が、適法な決議に基づき、共用部分の改修工事を業者に依頼して実施し、その工事代金を管理費から支出しようとするも、一人の区分所有者のみがその工事に反対した事案です。

その工事は、全員の協力がなければ進められないため、管理組合は再三にわたり、反対者に対し協力を求めましたが、反対者は、一向に態度を変えません。そのため管理組合は、反対者に対し訴訟を提起することと、その訴訟費用を反対者に請求することを全員一致で議決し、訴訟を提起するに至りました。

 

本判決

ア 工事に反対している区分所有者に、工事に協力する義務はあるか

この点、本判決は、

「区分所有建物の区分所有者は、規約及び集会の決議に拘束されるから、本件マンションの区分所有者である被告は、当然に、適式に議決された本件改修決議に従う義務があり、原告は、本件改修決議を実行し、そのための協力を求める権利、義務を有するところ、(中略)被告は原告の再三の協力要請にもかかわらず、本件工事に協力していないことに加え、本件応訴の状況等からすれば、本件改修決議に従い、本件工事を実施することに協力する義務、春元工房(工事施工業者のことです。)が改修工事をするに当たり妨害をしない義務があることの確認を求める原告の請求には理由がある。」

としました。

イ この訴訟にかかった費用を反対している区分所有者に請求できるか

この点、本判決は、本件の管理組合の規約に、

「区分所有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法57条から60条までの規定に基づき必要な措置を執ることができる。これに要する訴訟費用(弁護士費用を含む。)は、当該区分所有者の負担とする。

との規定があることを根拠に、管理組合が本件訴訟の代理を依頼した弁護士に対して支払うべき着手金、実費、報酬金のうち相当と認められる金額について、被告(反対している区分所有者)が負担せねばならないとしました。

 

この裁判例のポイント

ND4_01760001一部の区分所有者が協力しないため、マンションの共用部分の工事を行えない場合でも、工事につき適法な決議があれば、その区分所有者には法的に工事に協力する義務があることを認めた点に、大きな意味があり、参考になります。

また、その争いが法廷闘争になった場合、管理組合の規約に上記のような規定を置いておけば、弁護士費用を相手に負担させることができることになりますので、規約を定める際にも参考になる裁判例です。 

(東京地裁平成27年2月16日判決をもとに)


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