Q.退職した従業員から、会社の顧客を引き抜く行為を防止する方法は?

質問

 退職した従業員が、会社の顧客を引き抜く行為を防止したいと思っています。何か有効な方法はありますか?

回答

 退職者による会社の顧客の引き抜き行為を防止するためには、①退職者の競業を禁止する方法②退職者が会社の顧客と取引することを禁止する方法③退職者が会社の顧客情報を持ち出すことを禁止する方法の3つの方法があります。以下、それぞれについて詳しく説明していきます。

 まず、①退職者の競業を禁止する方法ですが、これは就業規則や誓約書に、「退職後の一定期間、会社と競合する他社に就職し、あるいは競合する事業を営むことを禁止する」旨を記載することで、退職者が退職後の一定期間、会社の顧客を引き抜いて競業することを防止することができます。
 もっとも、このような「競業禁止条項」は退職者の転職の自由を強く誓約するものですので、期間や地域をかなり限定して規定しておかないと、裁判所で無効と判断されることが多い点に注意が必要です。

 次に、②退職者の顧客との取引を禁止する方法ですが、これについても就業規則や誓約書に「退職後の一定期間、顧客との取引を禁止する」旨を記載することで、退職者にそのような義務を課すことができます。顧客との取引禁止は、①の競業禁止に比べて転職の自由に対する誓約の度合いが低いので、裁判所に認められやすいというメリットがあります。

 もっとも、やはり期間や顧客の範囲を限定しておく必要はあります。期間については「退職後2年以内」、範囲については、会社の顧客全てでなく「退職者が在職中に担当した顧客」に限定しておくのが得策でしょう。

 最後に、③退職者の顧客情報の持ち出しを禁止する方法ですが、これについても就業規則や誓約書で定めることができます。情報の持ち出しについては、期間を限定する必要はありませんが、持ち出しを禁止する情報については明確に定義しておく必要があります。具体的には、「顧客の住所、氏名、連絡先に関する情報、顧客と会社の取引内容、取引価格に関する情報」というように限定して定義しておくのがよいでしょう。

 退職者の顧客の引き抜きを防止するためには、以上の3つの方法がありますが、万全を期すためには、3つのどれかを選択するのではなく、上記の3つの禁止条項全てを就業規則と誓約書で規定しておくことをお勧めします。


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発行日:2016.03.22

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